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なぜ今、上杉謙信に注目が集まっているのか?

3月6日(月)発売『歴史人』4月号は上杉謙信を特集!

 今、書店では歴史雑誌をはじめ文庫、コミックスと上杉謙信に関わる本が多く出版されている。今月の6日に発売される歴史人4月号も上杉謙信を特集する。なぜ今、上杉謙信なのか?

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 上杉謙信といえば、武田信玄のライバルで5度の川中島合戦を繰り広げたということはご存知だろう。しかし、なぜ武田信玄や北条氏康、織田信長と戦い続けたかまでを知っている方は意外と少ないのではないだろうか。

 「義の人」。謙信を表す際によく用いられる表現だが、上杉謙信は神仏に篤く信仰し、「義」を重んじ、義理堅く、正義感の強い人物であり、その49年の生涯は戦いに明け暮れはしたが、侵略のための戦いは一度もなかったのだ。すべて「義」をつらぬくための戦いであった。

 下剋上の乱世にあって、謙信は他の大名とは明らかに異なっていた。他の大名が自分の利益のために戦うなかで、謙信は領地を取ったとしても、それを元の領主に戻してしまう。それらを領有化していれば、上洛も天下統一だって見えたかもしれない。だがそれは、我々が現代の目線で見るからであって、戦国時代の武将のなかでも特に保守的な価値観を持つ謙信からしてみれば、それが「義」にのった行動だったのである。

 謙信は生涯のうち13回にわたって関東に遠征し戦っている。その理由は、北条氏康に敗れて謙信を頼ってきた関東管領上杉憲政に対する義である。さらにその後、足利将軍は謙信に上杉憲政から関東管領職を譲られたら受けてほしいという御内書を下していて、これにより謙信は将軍から関東の平和回復を託されたことになり、職務を遂行する義である。

 乱世であっても、意味のある戦いしかしなかった。無駄な戦いは一度もしてこなかった。困難な時代であっても、私利私欲に溺れることなく、理想を追い求め続けた謙信だからこそ、殺伐とした現代人にその生き様が響くのかもしれない。

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