日本一に輝いたファイターズ指揮官・栗山英樹は、選手たちとどう接してきたのか。コーチとの関係はーー。
 日本シリーズ、サヨナラ満塁ホームランを打つなどセンセーショナルな活躍をした西川遥輝が今年、本当の意味でブレイクした理由。
 21日に出される栗山英樹の新刊『「最高のチーム」の作り方』から独占配信する。

西川遥輝の進むべき道を照らし続けたコーチの存在

 西川遥輝は、プロ6年目にしてようやくスタートラインに立った。

 才能が開花したという人がいるが、それは違う。

 桜にたとえるなら、まだほんの一部咲き程度で、つぼみが開花の兆しを見せた状態だ。西川の才能は、決してこんなものではない。本当に開花したらトリプルスリーも狙える選手だと、僕は本気で思っている。

 

 はじめから生き残る道はひとつしかないと自覚できていれば、方向性は自ずとはっきりする。だが、才能溢れる彼にはたくさんの選択肢があったため、いつも迷いがつきまとい、行ったり来たりを繰り返していた。

 そんな西川が方向性を見出すきっかけをくれたのは、城石憲之コーチだった。

 現役時代の城石コーチは、選手会長も務めた東京ヤクルトスワローズの印象が強いが、プロ入り時の入団チームはファイターズで、4年目にスワローズに移籍した経歴を持つ。そのスワローズのコーチを経て、去年はファイターズの二軍打撃コーチ、今年は一軍打撃コーチを務めてくれた。

 柔和なイメージを持たれている方が多いかもしれないが、仕事に関しては頑固で、妥協を許さない厳しさを持った男だ。

 その城石コーチと西川遥輝が、今年、徹底した二人三脚に取り組んだ。

 練習での向き合いはもちろん、顔を合わさない日でも動画のやり取りなどをしながら、コミュニケーションを取ることを欠かさなかったという。城石コーチはつねに西川の状態をチェックしながら、野球選手として進むべき道を照らし続けた。

 その道をともに歩むうちに、西川は自ら方向性を見出してくれたのだ。

 コーチの仕事は技術的な指導だけではない。心から選手のことを思い、人と人、一対一でとことん向き合うことがいかに重要か、2人の成果が改めてそれを教えてくれた。

 ビールかけのとき、テレビのインタビューで西川は「今年は城石さんのおかげ!」と連呼していたという。心からの感謝の表れだったんだと思う。(栗山英樹・著『「最高のチーム」の作り方』より抜粋)