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東西日本を分断する要所? 京の都を防衛的視点で眺める!

東の敵を想定するなら平安京が最適だった!? ●シリーズ③地形で読み解く古代史重要地点

 竹村公太郎は、『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP文庫)の中で、この往来の様子を「頸動脈(けいどうみゃく)」とみなし、織田信長が比叡山の僧兵を恐れ延暦寺(えんりゃくじ)を焼き討ちにしてしまったのは、逢坂を比叡山の僧が守っていたから邪魔になったと指摘している。

 それだけが理由ではないだろうが、これまでに無い指摘で興味深い。

 また竹村公太郎は、叡山(えいざん)の僧兵は天皇の親衛隊で、彼らが壊滅したことによって、「日本文明では天皇の権威と武士の政治権力と宗教の棲(すみ)分けが確立した」というが、ヤマト建国時にすでに、天皇(ヤマトの王)は、祭司王だった。そしてこれも、ヤマト建国の大きな謎のひとつに挙げて良い。

 ところで、平城京が捨てられ、長岡京(京都府向日(むこう)市、長岡京市、京都市にまたがる)、平安京が矢継ぎ早に造られた時代は、東北征討が本格化し、また泥沼化した時代でもあった。

 その理由は、朝廷が東国を恐れていたことはたしかで、逢坂を城壁に、さらに東の琵琶湖と瀬田川を外濠に想定していたと思われる。

地形で読み解く古代史』より

 

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関 裕二

せき ゆうじ

 



1959年生まれ。歴史作家。仏教美術に魅了され、奈良に通いつめたことをきっかけに、日本古代史を研究。以後古代をテーマに意欲的な執筆活動を続けている。著書に『古代史謎解き紀行』シリーズ(新潮文庫)、『なぜ日本と朝鮮半島は仲が悪いのか』(PHP研究所)、『東大寺の暗号』(講談社+α文庫)、『新史論/書き替えられた古代史』 シリーズ(小学館新書)、 『天皇諡号が語る 古代史の真相』(祥伝社新書)、『台与の正体: 邪馬台国・卑弥呼の後継女王』『アメノヒボコ、謎の真相』(いずれも、河出書房新社)、異端の古代史シリーズ『古代神道と神社 天皇家の謎』『卑弥呼 封印された女王の鏡』『聖徳太子は誰に殺された』『捏造された神話 藤原氏の陰謀』『もうひとつの日本史 闇の修験道』『持統天皇 血塗られた皇祖神』『蘇我氏の正義 真説・大化の改新』(いずれも小社刊)など多数。新刊『神社が語る関東古代氏族』(祥伝社新書)



 


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