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地形で読み解く古代史!なぜ奈良は古代日本にとって重要だったのか?

奈良盆地は天然の要害だった! ●シリーズ①地形で読み解く古代史重要地点

 一気に奈良盆地に下っていくが、まるで天孫降臨をするような気分にさせてくれる。この高低差に、ヤマトの弱点が見えてくる。

 もしヤマトの敵が東側から現れて高台に陣取れば、ヤマトの政権は、震え上がっただろう。

 かつての常識通り、武力を携えた強大な勢力が西側からやってきて政権を打ち立てたのなら、奈良盆地は選ばなかっただろう。

 それは、名阪国道を走ってみれば、すぐに分かることなのだ。

 東の脅威を感じたら、ヤマトに住んでいられない。

 奈良の地形が特殊だったために、思わぬ場所で、何度も合戦が起きてしまっている。

 それは、大阪府の奈良県寄りの一帯だ。大和川が大阪側に流れ下り、南側から流れてくる石川が合流するあたりは、古くから何度も合戦の舞台になってきたのだ。

 ちなみに当時の大和川は、石川と合流したあと、西ではなく、北に向かっていた。

 最初は、用明二年(五八七)七月の、物部守屋と蘇我馬子の仏教導入をめぐる争いで、餌香川(えががわ)(石川)で激戦が展開され、稲城(いなき)を築いて激しく抵抗した物部守屋だったが、聖徳太子の神通力を持って、ようやく蘇我馬子は勝利を得ている。

 ヤマトから攻め下る蘇我馬子の勢力をくい止めるのに、河川を楯にしたわけだ。

地形で読み解く古代史』より

明日は「古代から『真田丸』の時代まで幾度も戦場となった要所とは!?」です。

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関 裕二

せき ゆうじ

 



1959年生まれ。歴史作家。仏教美術に魅了され、奈良に通いつめたことをきっかけに、日本古代史を研究。以後古代をテーマに意欲的な執筆活動を続けている。著書に『古代史謎解き紀行』シリーズ(新潮文庫)、『なぜ日本と朝鮮半島は仲が悪いのか』(PHP研究所)、『東大寺の暗号』(講談社+α文庫)、『新史論/書き替えられた古代史』 シリーズ(小学館新書)、 『天皇諡号が語る 古代史の真相』(祥伝社新書)、『台与の正体: 邪馬台国・卑弥呼の後継女王』『アメノヒボコ、謎の真相』(いずれも、河出書房新社)、異端の古代史シリーズ『古代神道と神社 天皇家の謎』『卑弥呼 封印された女王の鏡』『聖徳太子は誰に殺された』『捏造された神話 藤原氏の陰謀』『もうひとつの日本史 闇の修験道』『持統天皇 血塗られた皇祖神』『蘇我氏の正義 真説・大化の改新』(いずれも小社刊)など多数。新刊『神社が語る関東古代氏族』(祥伝社新書)



 


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