独占インタビュー・阿部勇樹【悲願のタイトルへの決意】<br />――柏レイソルから学んだ「一致団結」の意味、そして最後尾を走る理由。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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独占インタビュー・阿部勇樹【悲願のタイトルへの決意】
――柏レイソルから学んだ「一致団結」の意味、そして最後尾を走る理由。

悲願のJ1王者へ。阿部勇樹が「赤」に染まって10年目にして抱く思い、独占インタビュー

■柏レイソルに感じた優勝するために必要な雰囲気

――レスターからレッズに復帰した際、「一致団結する」ということについて「選手だけが同じ方向を向いている」と思っているだけではダメで、外から見ても「あのチームは一致団結している」と思われないといけない、とおっしゃっていました。なるほどなと思った記憶があるのですが、覚えていますか。

阿部 覚えています。そのときね(2011年シーズンのこと。阿部は2012年1月に浦和復帰)、柏レイソルが優勝したのをイギリスで観ていた。ハイライトだったと思いますけど、決めたのがレッズ戦だったんです。レイソルはJ2から上がってきて、いきなりJ1で優勝したんですけど、観ていて「ひとつになっている」ことをすごく感じたんです。それは、チームだけ、選手やスタッフだけじゃない、その周りにいるすべての方が、同じ方向性を向いて戦っているということなんだ、とその重要性をものすごく感じた。

 

――それが「まだ成し遂げていないことを成し遂げる」ために、目指すべき方向となった。

阿部 全部が全部ぴったりと一緒の道を歩くというわけじゃなくてもいいと思うんです。意見や考えをきちんと聞きつつ、少し離れている道かもしれないけど、並行するようにして、同じ目指すべきところに向かっていく、それでいいと思います。

 やっぱり、チームには試合に出る、出られないというようにいろいろな選手がいるし、サポーターの方だって感じ方が選手と違うこともあると思う。ときには衝突することだってあるかもしれないです。でもそうした衝突も、必ずいい方向にいくための、同じ目指すべきところに向かうための衝突だと思うから僕は悪いことだとは思わない。もちろんそれがなくて進めば一番いいかもしれないけれど、そんなことは絶対あり得ないと思いますしね。

 そういう意味では、今シーズンは特に一緒に進めて行けているな、と実感しながら戦えていて、その中でルヴァンカップを獲ることができたので良かったです。ちょっと時間を掛け過ぎて、待たせてしまったなとは思いますけどね。

――たくさんのプレッシャーがあるレッズでキャプテンとして「一致団結」を目指すとき、難しいことも多いのではないしょうか。

阿部 どうなんですかね……、あんまりやることがきついなって思うことはないですよ。

――「一致団結」をするために、チームを見渡していて、気にしていることはあるんですか。

阿部 うちのチームはすごくポジティブで、賑やかな選手たちがいっぱいいます(笑)。僕はそういう選手がすごく大事だと思っているから、彼らが元気かどうかっていうのは常に見ていますね。やっぱりいいときっていうのはすごく声も出るし、元気。でもそんな賑やかで元気な選手たちの声が聞こえなくなったときって、だいたいチームとして雰囲気が良くないときだったりするんです。この年代になると彼らみたいな選手は本当に重要な選手です。見て、声が聞こえなければ分かりますしね。

――そういうことを観察するために、ランニングは最後尾を走る、と聞きました。

阿部 トレーニングの中で一番前を走らないといけないときは走りますよ(笑)。でも、アップはそうですね。一番前で走っていると見えないけれど、後ろのほうだと全体が見えるから好きなんでしょうね、後ろが。

 実際、一番後ろを走ると結構いろんなものが見えてくるかなあ、って感じがします。あいつは軽快に走っているからまあ大丈夫だなとかあいつ元気がなさそうでぽつんと走っているから、少し気にかけておこうとか。
<第3回に続く――>

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