中国のドナルド・トランプとは誰か。<br />習近平政権を批判しつるし上げに…<br />その顛末と権力闘争の中身 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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中国のドナルド・トランプとは誰か。
習近平政権を批判しつるし上げに…
その顛末と権力闘争の中身

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

 二八日には、大手ポータルサイト新浪(シンラン)と騰訊(テンセント)の任志強のアカウントも国家インターネット情報弁公室の命令で閉鎖させられた。

 だが中国メディアおよび中央宣伝部がかくも威勢よく任志強バッシングを展開した本当の狙いは、べつに習近平への忠誠心からではなく、任志強の発言が反党・反政府的であったからでもない。「千龍ネット」[北京市党委宣伝部主管のニュースサイト]が掲げた「誰が任志強を〝反党〞的にさせたか」という一文では「任志強が夜中に頻繁に電話する指導者」[王岐山を指す]を挙げており、要するに任志強が恐れることなく習近平政権批判めいたことを言える黒幕は王岐山だ、ということをほのめかせている。

 権力闘争や権謀術数の激しい中国では往々にして、このようなけんかのやり方をする。つまり、中国メディアと中央宣伝部が任志強バッシングで本当に矛先を向けているのは王岐山だった。あるいは、習近平に忠誠を誓うふりをしながら、習近平と王岐山の仲を裂こうとする中央宣伝部の画策かもしれない。

 中央宣伝部は中国メディアを統括する党中央機関。新華社、CCTV、人民日報は中央宣伝部直属のメディアである。中央宣伝部を指導する党中央政治局常務委員は共青団出身だが、江沢民に抜擢された江沢民派の上海閥に属し、習近平とは目下微妙な対立関係にある劉雲山だ。中央宣伝部部長は共青団出身で胡錦濤派に属し、やはり習近平とは微妙な対立関係にある劉奇葆(りゅうきほう)。劉雲山も劉奇葆も汚職の噂が絶えず、いつ王岐山率いる中央規律検査委の取り調べ対象となっても不思議はない。

次のページ任志強バッシングの体を借りて王岐山攻撃を始めた、あるいは習近平と王岐山の間に亀裂を入れようとしている…

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