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人民元の暴落はもうすぐそこだ!
中国経済の空洞化が加速している理由

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

 経済の実相とかけ離れた元高誘導を是正し、また輸出力を改善するという意味で、人民元切り下げは正しい方向性だが、国際社会に、中国経済はそこまで危機的状況なのだというメッセージを発してしまったがため、中国の資金流出を加速させ、国際市場にも悪影響を与えた。

 この後、当局では、人民元改革を急ぐべきではないとする意見が台頭し、政府介入によって元を買い支え、人民元安を防ぐ方向に入った。だが、結果的に人民元安と資金流出には歯止めがかからなかった。

 2016年6月末の中国の外貨準備高は3.2兆ドル。5月末に3.19兆ドルまで減少して、多少予想外の増加に動いたこともあったが、このままでは中国にとっての安全ライン2.8兆ドルのラインに早晩達するペースとみられている。

 この外貨準備高の急激な減少の背景に、一帯一路構想がある。もともと一帯一路構想が練られていたころは、巨額の外貨準備高を減らして、人民元の国際化を後押しし、中長期のドル安リスクを軽減することも狙いだった。

 だが、英国のEU離脱騒動による欧州金融の不安定化、中国の資金流出の加速で、この一帯一路構想もあやうくなってきている。

 中国社会科学院のロシア東欧研究所と中国社会科学院一帯一路研究センターなどが出版した『一帯一路建設発展報告2016』には、一帯一路戦略上の政治リスク[民族・宗教問題の衝突や政治体制・イデオロギーの差異が国家政局に与える不穏な影響など]のほか、金融リスクも指摘している。

次のページ中国にとってEU金融はあてにならないどころか、リスクの引き金になりそうな予感…

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