伸び悩んだ新世代の旗手「髙安」が纏い始めた「横綱のオーラ」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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伸び悩んだ新世代の旗手「髙安」が纏い始めた「横綱のオーラ」

大相撲雑記帳 第7回

出世を妨げた連勝癖と連敗癖

 豪栄道の綱取りが大いに注目される11月場所だが、もう1人、ビッグなチャンスに挑む男がいる。三役で2場所連続2桁勝利を挙げている髙安(たかやす)だ。同じ田子ノ浦部屋の兄弟子、大関・稀勢の里の胸を借りながらメキメキと力をつけ、満を持して大関取りを狙う。

 平成生まれ初の関取、新入幕、初金星、新三役と新世代の旗頭として番付を駆け上がってきたが、その後は厚い壁に何度も跳ね返されるうちに平成世代初の賜盃と大関は、照ノ富士に先を越されてしまった。横綱にも張り手を見舞うほどのハートの強さと、熱心な稽古で培った地力には定評があった髙安だが、気持ちにムラがあるためか連勝が多い一方で連敗癖もあり、これが出世を妨げていた。

 今年7月場所、3度目の小結にして三役初の勝ち越しとなる11勝をマークすると、新関脇の先場所は堂々の真っ向勝負で2横綱2大関を撃破しての10勝。一躍、大関取りに名乗りを挙げた。この急変ぶりについて本人は「簡単に言えばパワーアップできた。それに尽きる。だからこそ(上位陣に)通用していると思う。自信にもなっている」と話す。ただし、先々場所も先場所も優勝争いに名を連ねながら、終盤で格下の平幕力士に連敗したのは少々、気がかりだ。

「自分でも優勝できるんじゃないかと思わせるような展開だった。もう少し集中して星を上げていれば(賜盃を)獲れていたかもしれない」と悔しい経験は肥やしになっているはずだ。

 本来は左四つだが右四つでも相撲が取れ、左右からの投げもあれば突っ張りも見せる、いわゆる万能型タイプであったが「1つ、こうなれば自分の相撲というものができてきた。まだ強力なものではないですけど」と絶対的な武器も身に付けつつある。

両国の国技館通りにある力士像。高安は後世に残る力士になれるか!?

 巡業では連日、稽古土俵に上がり続け、他の三役以下の力士とは明らかに格が違う強さを発揮している。最近はどこの会場でも髙安が登場するだけで、自然と拍手と声援が沸き上がる現象が起きているが、大関や横綱になる力士は不思議とこういった“オーラ”を身に纏っているものだ。ケガなく自分の相撲を取り切れば、大関は向こうからやってくるに違いない。

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