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中国陸軍の不満が爆発寸前!
習近平の軍制改革による
兵力30万人のリストラの影響か

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

軍権を完全に掌握して軍事独裁体制に突き進もうとしている習近平国家主席。軍事クーデターや習近平暗殺の噂も絶えない……。

軍区の解体とリストラで陸軍の不満は爆発寸前

 この軍制改革と並行して、習近平は軍内の要職に自分の〝子分〞となる人間を配置しようと人事権を行使した。

 趙克石(ちょうこくせき)[総後部長。軍制改革後は後勤保障部長]や李暁峰(りぎょうほう)[政法委員会書記]、王安竜(おうあんりゅう)[中央軍事委弁公庁副主任]、苗華(びょうか)[海軍政治委員]、蔡英廷(さいえいてい)[解放軍軍事科学院長]といった面々の急激な出世は典型的な習近平人事である。彼らの多くが南京軍区出身、とくに第三一集団軍出身である。

 第三一集団軍は通称アモイ軍と呼ばれ、習近平が福建、浙江省勤務だった時代に人脈を築いた。軍権掌握のために自分と仲の良い将校を出世させるやり方は、中国の指導者の常套(じょうとう)手段だが、習近平の場合、〝実力不足の将校がコネで出世〞した感が丸出しで、軍内の習近平に対する不満の理由となっている。

 たとえば苗華は第三一集団軍から陸軍政治畑を歩いてきて、二〇一四年六月に蘭州軍区政治委員となったが、その後半年足らずでいきなり海軍の政治委員となり二〇一五年七月には海軍上将になっている。陸軍中将から海軍上将への上り方があまりに唐突で、しかも人事権を握る政治委員となれば、当然、生え抜きの海軍将校からすれば不満であろう。

 総じて見ると、習近平の軍制改革は、陸軍の利権を奪い、軍閥化を予防し、自分の子飼いの部下を出世させ自分に忠実な軍隊に作り替えようというのが目的であるが、これが建前の目的の強軍化につながるかは、まだ疑問の余地がある。

次のページ軍区の強引な解体とリストラは大きな兵力を抱える陸軍の不満の種になった……

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