これは日本経済に大いなる打撃を与えることは言うまでもないが、それだけではない。中国経済が悪化すれば、失業者が増え、中国の社会不安は増大する。当局に向けた抗議活動や官民衝突、貧困テロのような大衆の暴力事件を現状の治安維持力では抑えきれなくなってくると、その矛先が党中央・政権に向かないように、また反日デモや愛国主義運動などが利用される可能性が高くなってくる。胡錦濤政権のときよりも、日中の軍事的緊張は高まっているので、そのときの反日デモは流血沙汰になるかもしれない。経済クラッシュは、在中国日本人の安全の問題にもつながってくるのだ。

 また、こうした経済悪化、それに伴う社会不安、治安悪化が進むと、中国人の移民願望、資本逃避願望が高まり、その行く先にはオーストラリアや米国だけでなく、近場の日本も含まれるようになる。日本在住中国人が増えていくことになるだろうが、日中の軍事的緊張が急に高まるような事態になった場合、日本に住む中国人と日本人とのトラブルも十分に予想される。

 実際に日中軍事衝突が起きなくても、価値観の違い、モラルの基準の違いからくるトラブルは今より多くなる。また資本逃避を兼ねたチャイナマネーによる日本の不動産、水源、企業の買収などが加速すれば、以前よりも貧困化し不満が強くなった日本人の反中感情も高まる。こうした状況が、日本社会の治安、安定にも影響してくるかもしれない。

 権力闘争激化、経済悪化、それに伴う社会の不安定化、それを抑えるための言論統制強化、治安維持強化、それに抵抗する大衆の暴力事件増加、大衆の不満のはけ口として利用される反日世論誘導や戦意高揚プロパガンダ、軍権掌握のための軍事挑発……。

 中国にはいつはじけてもおかしくないチャイナリスクがある。日本人がそれにいかに備えるかを考えるには、そのリスクの所在と背景、その大きさをきっちり認識することだろう。

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