米軍の奇襲の前に<br />主力空母4隻が撃破される |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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米軍の奇襲の前に
主力空母4隻が撃破される

ミッドウェー海戦 “運命の5分間”の真実 第2回

 午前6時25分、ホーネットの雷撃隊TBD編隊15機が来襲。これは零戦隊や対空砲火で全機を撃墜した。20分後、エンタープライズの雷撃機14機、さらにヨークタウンの雷撃機12機が襲いかかった。零戦隊は低空で突進する雷撃隊を食いとめるのに必死だった。このために上空にぽっかりと穴があいたかたちになった。

 午前7時20分、エンタープライズのSBD30数機が死角になった空域の高高度からダイブし、加賀に500ポンド(約227キロ)爆弾を投下した。このうち4発が命中し、紅蓮の炎をあげた。蒼龍にはヨークタウンの艦爆隊17機が襲いかかり、3発が直撃した。赤城も2発を被弾、徹甲爆弾が格納庫で炸裂し、爆弾や魚雷が誘爆し、火炎を噴きあげた。

 無傷の飛龍は午後7時50分、零戦6機、艦爆18機の攻撃隊を発進させ、ヨークタウンに爆弾6発を命中させた(攻撃隊は別の空母と思い込んでいた)。が、零戦3機、艦爆13機が犠牲になった。

 午前10時31分、第2次攻撃隊の零戦6機、艦攻10機が発進、空母に打撃を与えた。攻撃隊はエンタープライズと思っていたが、実際にはヨークタウンだった(のちに日本軍の潜水艦が撃沈)。この攻撃で半数が未帰還となった。

 飛龍は第3次薄暮攻撃の準備を進めていたが、午後2時過ぎ、エンタープライズの艦爆隊24機が来襲。孤軍奮闘の飛龍もついに4発の直撃弾を食らって炎上した。6日午前零時15分、艦長の加来止男大佐は総員退去を命じたのち、第2航司令官の山口多聞少将と同じく飛龍と運命をともにした。

米軍機の爆撃を受ける空母赤城。その後方には護衛役の駆逐艦の姿が見える。

 

 

 

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松田 十刻

まつだ じゅっこく

1955年、岩手県生まれ。立教大学文学部卒業。盛岡タイムス、岩手日日新聞記者、「地方公論」編集人を経て執筆活動に入る。著書に「紫電改よ、永遠なれ」(新人物文庫)、「山口多聞」(光人社)、「撃墜王坂井三郎」(PHP文庫)など。


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