Kも共感した三味線作り親子の挑戦「伝統を継承しながらも自分のやり方を追求してほしい」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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Kも共感した三味線作り親子の挑戦「伝統を継承しながらも自分のやり方を追求してほしい」

第3回 三味線(三重県津市) 三味恒 3代目川合正洋さん

破れるかギリギリのところで止まると良い音がでる

三味恒の現店主・川合正洋さん。

川合 韓国には三味線のような楽器はありますか?
K ちょっと思い当たらないですね。ただ、琴のような楽器はあるんですよ、カヤグンと呼ばれる楽器です。三味線のようなものを弾くのを見たことがないので、なかったように思います。

川合 元々三味線は中国から沖縄へと伝わり、日本に広まった楽器なんです。
K そうなんですか。もしかしたら、朝鮮半島は通ってこなかったかもしれませんね。先ほど、4代目といっしょ「さくらさくら」をちょっと弾かせてもらったんですが、やっぱり難しいですね。
 

 

川合 初めての三味線を触って、こんなに上手に弾けるとはビックリしました。さすがです。
K それは嬉しいですね。実は昨日の夜、ホテルでずっと練習していたんです。
川合 ほんとですか?
K スミマセン、嘘です(笑)。

 それにしても三味線はギターと同じ弦楽器ではあるけれど、違った面白さがありますね。
川合 まず弦の本数が違いますからね。
K 3本しかないのに、いろいろな演奏ができることに驚きました。

三味線の首にはフレットはついておらず、ヴァイオリンに近い。

川合 三味線にはフレット(弦楽器の首にある、音階の目安を示したもの)がないので、そういう意味では細かく複雑な弾き方ができるんですよ。
K 弦を抑える指の位置で、半音、一音と変わってく。フレットがないという意味では、バイオリンやチェロなどのクラシック楽器にも共通する部分がありますね。弾く人の音感が試されているというか。とても難しい楽器だなって思いました。でもだからこそ、興味深い。

 川合さんにとっての三味線とは?
川合 たとえば私が作った三味線を舞台やステージで弾いてくださるわけですが、演奏者、そしてその音を聞いてくださる方、双方を三味線の美しさや繊細な音で魅了したい。魅了できる楽器を作りたいと思っています。皮というのは、一番最後、破れるかどうかギリギリのところで止められるとすごくいい音になるんです。伝統を受け継いでいくという部分はたくさんありますが、やっぱり私がしていたことを息子がやればやっぱり少し変わっていく。それで良いんです。伝統を継承しながらも自分のやり方を新しく追及してほしいと思っています。

●Kの視点●
「作る」だけではなく「伝える」大切さ。

 

 4代目の拓弥さんは、「本当の音を耳にし、本物の楽器に触れてほしい」と学校などへ出向いて、日本の伝統楽器を知らない人たちに伝える活動もされているそうです。モノを作るだけでなく、その良さを知ってもらう。それは僕たちシンガーにとっても大切な活動になるのですが、伝統工芸の世界でも変わらないんだなと思いました。僕自身もCDや楽曲を制作するだけが、アーティスト活動だとは思いません。やっぱりライブで僕の楽曲を聞いてもらいたいし、そういう時間が次の制作にも繋がっていく。きっと拓弥さんも伝統楽器を伝える活動のなかで、得た刺激をもとに生まれたものが、3代目の言う「新しさの追求」になっていくんだと思います。

 

 

三味恒(しゃみつね)
■所在地 〒514-0016 三重県津市乙部15-2
■TEL 059-225-3468
■営業時間 9:00~19:00
■定休日 月曜
■HP/http://shamitsune.com/

 

PROFILE

 

K(ケイ)
1983年韓国ソウル生まれ。2005年デビューし、「Only Human」が大ヒット。以降もピアノ弾き語りのスタイルで、シンガーソングライターとして、J-POP界で活躍している。2014年タレントの関根麻里と結婚。昨年、第一子が生まれた。
Kオフィシャルサイト http://www.club-k.cc/

●番組情報●
「伝統の継承~笑顔に逢いに」
 
三重テレビ 毎土20:25~20:55
KBS京都 毎土10:30~11:00
びわ湖放送 毎土10:30~11:00
奈良テレビ 毎日 18:30~19:00 
10月29日、30日放送予定「八丁味噌~豆と塩の奇跡~」
11月5日、6日放送予定「吉野手漉き和紙~文化財を守り継ぐ紙~」
 

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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