「誤審か否か」だけでは見えてこない <br />選手がピッチで取るべきレフェリーとの距離 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「誤審か否か」だけでは見えてこない
選手がピッチで取るべきレフェリーとの距離

「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦

■未然に防ぐことの重要性

 さきほど回り道をしているときに、小さい頃の記憶をひも解いていたら思い出したことがありました。
 僕の故郷である山口県は、特産品の夏みかんの色にちなみ、ガードレールがオレンジ色なのですが、僕が住んでいた島は田舎なので、ガードレールがない道も多く残されています。中には、鋭くカーブを描く道の脇にも設置されていない場所があり、川はむき出しになっていました。
 ある日、そこで事故がありました。浅い川なので、確か大きな事故ではなかったと思いますが、数日後にはそこにガードレールが設置されていました。

 子供心に、なぜ事故が起きる前に設置されないのかなと思った記憶があります。今ではなんとなく、その事情も分かりますが、僕たちがピッチの中でしなくてはいけないのは、そうした「なぜ前もって……」と思うようなことをなくしていくことです。

 未来に何が起こるかは分かりませんが、起こりうるあらゆる可能性を一つひとつ明確にしていき、必要であれば、事故が起こる前にガードレールを設置しておかなくてはいけないのです。サッカーにおいては得てして、それを怠ったところで、事故は起こるものだからです。

 裁く側と裁かれる側。それに抗議する者とされる者。そうした構図だけでなく、選手とレフェリーとの付き合い方も少し目線を移して見ると、また違うサッカーの見え方が出てくるかもしれません。

KEYWORDS:

オススメ記事

岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


この著者の記事一覧