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「保育士の仕事は、言われるより楽しい」
現役男性保育士・てぃ先生が見つけたお金以上のもの

ツイッターフォロワー39万人! てぃ先生インタビュー!

『男の子(4歳)が段ボールで剣を作って「せんせい!みて!」と見せてくれたので「おぉ、すごい!誰をやっつけるの?」と聞いたら「だれを やっつけるんじゃない!だれを まもるかだ!」と答えた。僕は何だか恥ずかしくなった。その気持ち大切にしてほしいな。』

 大人がハッとするような子どもたちの言動。それをツイートするのは、現役の男性保育士。その名も「てぃ先生」。現在フォロワーは39万人を超える。

 9月24日に2年ぶりの新刊『ハンバーガグー!』が刊行される、てぃ先生になぜ改めて本を出そうと思ったのかなど、現状の保育や子どもたちを取り巻く状況について伺った。

――処女作『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくんか。』は15万部を超えるベストセラーになりましたが、以降書下ろしの書籍は出ていませんでした。今回、2冊目を出そうとおもったきっかけは?

先生 初めて書いた本『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』は、ありがたいことにそれなりに反響をいただきました。このときは純粋に、「子どもたちってすごいんですよ!」ということをたくさんの人に知ってもらいたいな、という思いだけだったんです。ですからその後、また出してみたいなあという思いはあっても、実際に机に向かうことはありませんでした。

ただ、この1年くらいですかね。ニュースやメディアなどでも「子ども」や「保育」というものがあまりにネガティブに語られることが多かった。指摘されていることは確かに、間違っているわけじゃないんです。でもそれだけじゃなくて、注目されているときだからこそ「いい面もありますよ!」ということを伝えられないかな、と。微力ですけど、そう思ったことが大きかったです。

――どんなニュースが記憶に残っていますか。

先生 待機児童の問題、保育園の問題は当然ありますけれど、「子育てがきつい」とか「面白くない」といったリアルな声もよく聞きました。虐待という最悪の結果につながるニュースもありましたよね。昨今は特に目についた気がします。

――どう感じていましたか。

先生 そうですね……。個人的には「保育はただきついだけじゃない。楽しいこともたくさんある」そう思っていました。いや、そっちが上回っている、と。

言い方は難しいんですけど、「きつい」と思うこともあります。確かにお給料は低い(笑)。「趣味に使うお金がないよね」なんて同僚と話すことはよくあります。

でも、それ以上にほかの仕事では絶対に気付けないような視点や考えを、子どもたちから教えてもらえる。そこにはじゅうぶん生きることを豊かにする魅力があると思っていました。

――例えばそれはどんな?

先生 今回の本(『ハンバーガグー』)にも書いたのですが、登園している子どもとお母さんのやり取りで、いつも「がんばってね」、「○○くんも、がんばってね」とやり取りする親子がいました。おでこをくっつけて言い合う、そのやり取りがいつも微笑ましかったのですが、ある日、男の子の機嫌が悪かったのか、お母さんだけが「がんばってね」と言うだけで別れてしまったことがありました。お母さんが帰ってしまったあと、男の子はことあるごとに「ママ、がんばってるかな?」と聞いてくる。朝、お母さんに「がんばってね」という言葉を言えなかったから、お母さんががんばれていないんじゃないか、と不安だった――翌日の連絡ノートにお母さんからそうコメントが書いてありました。

本当に些細なやり取りですけれど、子どもにとってはとても大きなものだった。そういうことを知ると、自分自身にも当てはまるような気がして、すごく考えさせられます。

日々、子どもたちと接して、子どもの目線でものごとを見る努力をしていると、日常の何気ないことに新しい発見を見つけることができる。アラサーの僕でも(笑)。それはすごく魅力的なことだと思います。

――それは、給与体系だったり、労働環境といったことを差し引いても……?

それはもちろん、改善できるのであれば改善してほしいですよ(笑)。たまに「子どもってそんなすごいことばっかり言ったり、したりしないよ!」なんて言われますけど、それは当然僕だって毎日楽しくて仕方ないというわけじゃありません。人並みに、仕事をしていればしんどいこともありますから。でも、それはどの仕事でもそうなんじゃないかな、と思うのです。僕は保育士しかしたことがないので、言い切ることはできないですけど……。

それに、発見がないと思った日があったとしても、翌日に取った何気ない子どもの行動が、何もないと思っていた前日の行動とあわせて考えると「ハッと」させられたり、失礼ながら笑っちゃったりすることってたくさんあります。

そうした日々のなかで、物事の捉え方って、ちょっと工夫するだけでとても楽しいものに変わるんだということに気付かされました。

保育士の仕事にいいところがたくさんある、と思えるのもそうやって子どもたちに物事の見方を教えてもらったからなのかもしれません。

 

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