かつて激痩せをきたした宮沢りえは<br />なぜ人気大物女優に成長できたのか? |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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かつて激痩せをきたした宮沢りえは
なぜ人気大物女優に成長できたのか?

摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!

 つまり、彼女は「完璧な美少女」を頑張って演じることにより、国民的アイドルになりえたわけです。

 しかし、一生そのままでやっていけるほど、世の中は甘くありません。とくに、母親主導で行なわれたふんどしカレンダーやヌード写真集などのセクシー路線は、ハイリスク・ハイリターンでした。それはある意味、国民的レベルのセクハラ対象になることでもあり、サプライズ効果がすごかったぶん、本人にはストレスだったと考えられるのです。

 そこで彼女は、のちの横綱貴乃花(当時は大関)との「結婚」という方法で、大人の世界へと一気に飛び立とうとしました。が、先方からの一方的に近い婚約破棄により、それが果たせず、デビュー以来初といっていい挫折を味わいます。

 それでも会見で「悲劇のヒロインにはなりたくない」と発言するなど「素直」に「元気」に「天真爛漫」に振る舞うことで、危機を乗り切ろうとします。本当は恨み言を言ったり、八つ当たりでもしたほうがよかったのでしょうが、少女としての優等生的な自己実現しか知らない彼女には、そうやって、平気なふりをするよりほか、術(すべ)がなかったのかもしれません。その無理がしわ寄せを生み「激瘦せ」という、心身症的かつ自己破壊的表現をとらせるにいたったのでしょう。

 それにしても、激瘦せという問題を考えるとき、これほど典型的なケースも珍しいのでは。いや、ひとつ、典型的ではないこともあります。それは大きなリバウンドをしていないことです。途中でひどい過食に転じて、以前よりも太ってしまう人が多いなか、彼女はその後、騒がれない程度の「ギリギリの細さ」となって、その体型を維持し続けました。

 しかも、結婚(のち離婚)や出産も経験。こうしたことが、彼女を特別な存在にしています。というのも、SNSなどで、

「宮沢りえくらいの細さでいられるなら、体重を増やしてもいいのだけど」

 と、口にする人が目立つのです。

次のページ「骸骨みたい、って言われるのは、イヤです!」とかつて彼女はきっぱり言った。

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エフ=宝泉薫

エフ ほうせんかおる

1964年生まれ。主に芸能・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版。2007年からSNSでの執筆も開始し、現在、ブログ『痩せ姫の光と影』(http://ameblo.jp/fuji507/)などを更新中。2016年に『瘦せ姫 生きづらさの果てに』を出版し、話題となる。

 

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