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小林よしのり×伊藤祐靖 新・国防論 
 日本人は国のために死ねるのか(2)

第2回 「公」のために死ぬという感覚が失われた時代

日本のあらゆる問題に疑問を持ち『ゴーマニズム宣言』にて問題を提起し続け、その歴史をまとめた『ゴーマニズム戦歴』(ベスト新書)も好評な漫画家・小林よしのり氏。
先月発売された『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』(文春新書)が話題沸騰中の伊藤祐靖氏。
この国の未来を憂うふたりが、国防と自衛隊の存在意義について問う、注目の対談!

米軍の弱点は「仲間を見捨てない」こと

小林 ハリウッド映画では米軍が敵に捕らわれた兵隊を救出しに行くシーンを度々描くんだけど、彼らはどんなに犠牲が出ても必ず救出に行くと決めてるんですよね。わしはアメリカが嫌いなんだけど、仲間を絶対に見捨てないというこの哲学は彼らの強さではないですか?

伊藤 いや、むしろ米軍の持つ数多い弱点のひとつだと思います。

小林 え、そうなの?

伊藤 彼らは死体も必ず回収するんですよね。そのために何名か犠牲が出ても必ず回収すると約束してるんですけど、「なんで?」って思いますよね(笑)。「自分の死体を回収するために何人か死なせるなら、その命を別のことに使ってよ!」って思います。しかしアメリカの場合、宗教上の考えもあるかもしれませんが違うんですよ。「必ず回収する」と約束しないと突っ込めないなんて、弱っちくないですか?

小林 犠牲者を見捨てていいというのは、きわめて合理的な判断ですよね。しかしそうなると、たとえば北朝鮮に拉致されてる人たちを救出するために自衛隊員の命を犠牲にすることができなくなってしまう。合理的に考えると、拉致被害者を見捨てることになるんじゃないですか?

伊藤 救出する相手が民間人とミリタリーとでは話が全然違います。兵隊は国家の意思を具現化するために命を捨ててもいいと自ら志願してきた人ですから。拉致被害者は、バトミントンの練習の帰りに連れ去られたりしたわけでしょう?

小林 そうか。民間人を救出するためならば軍人に犠牲が出てもいいということですね。軍人が捕まってる場合はそうじゃない。

 

伊藤 軍人を救出しないということではなくて、任務を優先させるということです。任務完遂の支障となるのであれば、見捨てなければなりません。兵隊を長生きさせるためにその作戦をやっているわけではないのですから。だからこそ、作戦は、国家理念を貫くための国家の意思でなければならないのです。

 

 

ゴーマニズム戦歴(ベスト新書)

国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 (文春新書)

 

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