安田国継 ~織田信長を槍で突き、森蘭丸を討ち取った男~ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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安田国継 ~織田信長を槍で突き、森蘭丸を討ち取った男~

日本史の実行犯 「あの方を斬ったの…それがしです」

 最終的に国継が辿り着いたのが、寺沢広高が治める肥前国・唐津藩(佐賀県唐津市)でした。広高は国継の旧友であり、立身出世を夢見た若い頃に「どちらか一人が大名になったら、残る一人を必ず高禄で召し抱える」と約束したそうです。そして、唐津藩8万石の主となっていた広高は国継を召し抱えて、当時の約束を果たしたと言われています。

 旧友の許で晩年を過ごした国継は、唐津で亡くなりました。命日は慶長2年(1597年)6月2日。奇しくも「本能寺の変」と同日でした。死因は頬の腫物の悪化を苦にした自害だったと言われ、これは信長を刺し蘭丸を討った祟りであると噂されたそうです。

 国継の墓は唐津城下の浄泰寺(じょうたいじ)に建立されました。そしてこの寺には、ある一本の槍が伝わりました。その槍は国継の愛槍と言われ、「本能寺の変」の時に織田信長を突いたものだと伝承されています。現在は唐津城で目にすることが出来ます。

(文/長谷川ヨシテル)

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長谷川 ヨシテル

はせがわ よしてる

歴史ナビゲーター、歴史作家。埼玉県熊谷市出身。熊谷高校、立教大学卒。漫才師としてデビュー、「芸人○○王(戦国時代編)」(MBS、2012年放送)で優勝するなどの活動を経て、歴史ナビゲーターとして、日本全国でイベントや講演会などに出演、芸人として培った経験を生かした、明るくわかりやすいトークで歴史の魅力を伝えている。テレビ・ラジオへの出演のみならず、歴史に関する番組・演劇の構成作家や、歴史ゲームのリサーチャーも務めるほか、講談社の「決戦! 小説大賞」の第1回と第2回で小説家として入選するなど、幅広く活動している。NHK大河ドラマ『真田丸』(2016年)の第3話に一般エキストラとして14秒ほど出演。また、金田哲(はんにゃ)、山本博(ロバート)、房野史典(ブロードキャスト!!)、いけや賢二(犬の心)、桐畑トール(ほたるゲンジ)とともに、歴史好き芸人ユニット「六文ジャー」を結成、歴史ライブやツアーを展開中。トレードマークは赤い兜(甲冑全体で20万円)。前立ては「長谷川」と彫られている(特注品で1万5千円)。著書に『ポンコツ武将列伝』(柏書房刊)『マンガで攻略! はじめての織田信長』(原作・重野なおき、金谷俊一郎との共著、白泉社刊)がある。雑誌『歴史人』の人気ウェブ連載をまとめた『あの方を斬ったの…それがしです ~日本史の実行犯~』が3月19日(月)配本!


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  • 2018.03.20