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田原総一朗 「科学技術の発達、進歩によって変わる、新たに生まれる社会環境に対して対応していかないといけない」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q21.AIの他に田原さんが気になるイノベーション的な動きはありますか?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

Q21.AIの他に田原さんが気になるイノベーション的な動きはありますか?

 
 
 
 
 

 医学でも注目している分野があります。生命科学、遺伝子解析が非常に進歩してきている。コンピュータの解析技術の発達とも関わりがあるんだけど、今、ほんの少しの唾液から遺伝子を取り出して様々なことがわかるようになってきているんです。
 先日取材したのは、唾液を調べることで、その人が将来どんな疾病に罹りやすいかということがわかるようになってきている。さらには成人であれば、その人の性格や身長までわかるようになってきています。
 一方で、京都大学の山中伸弥教授が作ったiPS細胞というのがあるでしょ。これはいろんな細胞が作り出すことができる。するとどういうことが可能になるかというと、例えば唾液を調べて、女性が将来、乳ガンになる、あるいは心筋梗塞になるということがわかれば、遺伝子を組み替えて、罹患することを防げるようになる。人間、死ななくなるんだよ(笑)。
 まあ、死ななくなるまでは行かないまでも、今だって寿命が長くなっているのに、それがさらに延びる。そうすると、今度は新しい問題が出てくるんです。
 今は定年が60だったり65歳まで働けたりするでしょ。仮に65歳まで働いたとしても、将来は90まで生きるようになると、約30年間をどうするんだ。どうやって生活していくのか。会社、企業はどう対応するのか。個人の問題でもあり、社会的な問題にもなるはずです。
 テクノロジーの発達、イノベーションによって、人間は幸せになると同時に新たな問題も生まれてくるんです。
 政治家や政府は、こういったことも考えないといけない。科学技術の発達、進歩によって変わる、新たに生まれる社会環境に対して、構造改革によって対応していかないといけないんです。これからの政治家は、一層大変になっていきますよ。

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明日の第二十二回の質問は「平和憲法公布と自衛隊創設の矛盾について、教えて下さい? 」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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