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田原総一朗「猪瀬さんや舛添さんは東京の将来像について具体的なビジョンを持っていたし、実務としても進めていた」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q5.都知事選は、二代続けて「政治とカネ」の問題を受けてのものでしたが?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

 Q5.都知事選は、二代続けて「政治とカネ」の問題を受けてのものでしたが?

 

 カネの問題は別として、猪瀬さんや舛添さんのほうが東京の将来像について具体的なビジョンを持っていたし、実務としても進めていた。
 猪瀬さんが徳洲会から借りた金だって、彼はすぐに返そうとしていた。ところが、相手側のスキャンダルが発覚し、身動きが取れなくなって返せなかったんだ。だから、今でも 辞任するようなことではなかったと思っています。

◆都政に対する抱負や主張といったものが薄かった都知事選

 小泉政権下では道路公団民営化に手腕を発揮したし。副知事時代には東日本大震災を機に、東京天然ガス発電所プロジェクトや東京電力の改革、都営地下鉄と東京メトロの一体化など、多くの方策を推進しました。知事になってからは、東京オリンピック・パラリンピックの具体的なビジョンを打ち出し、招致も成功させたしね。東京に対する抱負を持っていた。猪瀬都政はわかりやすかった。
 舛添さんは、東京都の官僚の政策にうまく乗ろうとしたんでしょうね。彼が立候補した時、僕は前後に他の候補も全員インタビューしたけど、都政に対する具体的な抱負を持っていたのは舛添さんだけだった。そして、自分の信念を実現させたいという気持ちが一番強かった。
 それがああいうお金の使い方で辞めることになったのは、残念だとは思う。
 今となっては小池百合子さんが、初の女性都知事として当選した後だから、話は前後してしまうけど、今回の都知事選挙では、本当に有力候補御三方の立候補時の都政に対する抱負や主張といったものが薄かったと思います。

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明日の第六回の質問は「天皇陛下の「生前退位」の話題についていかがお考えですか」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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