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相手の過失でもノンオペレーションチャージを払うのか

【法律歳時記】レジャーを台無しにしないための法律相談2

Q ひとり旅行に出かけ、旅先でドライブしてたらもらい事故にあった。高い飛行機代を払って急いで妻に迎えに来てもらったのですが、交通費は相手に請求できますか。

「民法709条には、他人の故意または過失による行為により何らかの損害を被った場合、『不法行為』に基づいて損害賠償請求をできることが定められています。
 相手方の過失による交通事故もこの『不法行為』に当たりますので、損害が発生した場合には相手方に対して損害賠償を請求することができます。
 ただし、損害賠償を請求できるといっても、どんな損害でも請求できるわけではありません。社会通念上、そのような交通事故が起きれば生じるのが相当であるという関係(相当因果関係といいます)にある損害についてのみ損害賠償の対象となりえます。
 それでは、付添の人の交通費が相当因果関係のある損害として認められるのでしょうか。
 これについては、前提として付添の必要性が認められなければなりません。
そして、付添の必要性が認められかどうかの判断には、けがの程度や被害者の年齢などが考慮されるようです。
 両足を骨折して人の力を借りないと移動ができないような場合や、被害者が子どもであったり、ご老人であったりするような場合には付添の必要性が認められますが、それ以外の場合には付添の必要性は認められにくい傾向にあります。
 例えば修学旅行先でお子さんが事故に遭って大けがをしたような場合には付添人の交通費も認められる可能性が高いと言えますが、大人が旅行先の事故で腕の怪我をしたような場合には付添人の交通費を相手方負担にすることはかなり困難と言えます。」(アディーレ法律事務所・岩沙好幸弁護士)

Q 事故のせいで、計画していた旅行をキャンセルすることになった!事故を起こした相手に治療費や慰謝料だけではなく、キャンセル料も請求したい!

「事故のせいで旅行がキャンセルになった場合、相手方に旅行のキャンセル料を請求することは一般的には可能だと思います。
 もっとも、相当因果関係のある損害と認められるためには、旅行への支障の程度と、けがの程度が考慮されるでしょう。
 宿泊先に向かう道中や前日の事故により大けがをしたような場合には相手方にキャンセル料も請求できるでしょうが、旅行の1か月前の事故によりむち打ち症になったような場合にキャンセル料を請求することはかなり難しいと言えます。

 いずれにせよ、旅行のキャンセル料について相当因果関係のある損害として請求を認めた裁判例も多くありますので、事故のせいで旅行のキャンセル料を支払わざるを得なくなった場合には、賠償を受けられるように交渉することをお勧めします。場合によっては弁護士に頼んでもよいでしょう。」(アディーレ法律事務所・岩沙好幸弁護士)

【お話をうかがった方】

 

岩沙好幸(いわさ よしゆき)さん
 弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。
近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。
http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/

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