私たちの社会はいつまで「結婚」を守り続けるのか |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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私たちの社会はいつまで「結婚」を守り続けるのか

少子化時代にふさわしいパートナーシップとは

出産後の女性のキャリア

 もうひとつ、このシンポジウムで提出された議題を紹介したい。それは出産後の女性のキャリアについてだ。

 日本では300万人にものぼる女性の労働力が活用されずにいるとされながら、「産む性」が抱える負担はあまりに大きく、普通に働くことさえ難しい。
 都市部では、子どもを産んだ後で働きたいと思っても保育園に預けられないから働けない、いわゆる待機児童の問題に直面する。
 仮に安心してフルタイムで働けるようになっても、今度は家事の負担がのしかかる。日本男性の家事時間は、他国に比べても著しく低いのだ。
 そこで家事をアウトソーシングしようとすると、値段の高さに頭を悩ませることになる。
 では、パートナーがもっと頑張れば良いのか、といえば必ずしもそうではない。筒井氏はいう。

「外国も必ずしもパートナーの力を借りているわけではありません。 例えば、スウェーデンは、出産後の女性は公務員として採用することが多い。逆にアメリカは、早い人は出産後数週間もしないうちに、子どもをナニーと呼ばれる乳母に預けて、復職します。つまり何らかの外部を活用しているのです」

 日本は、公務員の数はOECD諸国に比べて少ないものの給料が比較的高いこともあって、これ以上増やすという方向には進みづらい。だからといって、アメリカのようにすべて民間に任せる国柄でもない。
「まだ、これという解答はない」(筒井氏)が、家族のなかだけで解決する以外の方途を考える余地はありそうだ。

 シンポジウムの後には、婚活サポートコンソーシアムに参加する企業から、ダイバーシティの実現のための取り組みが紹介された。

 クレディセゾンは今後は与信の判断基準を変えていく、テイクアンドギヴ・ニーズは社内保育所の開設、プリモ・ジャパンは育休者とも情報を共有するなど、のビジョンを示した。
 既婚・子あり、既婚・子なしも、非婚も未婚も、シングルマザーも、もちろん男性もLGBTも、外国人も、誰もが生きやすい社会にする。そのための新しいパートナーシップの基準をつくっていくために、ここ数十年の結婚観と婚姻制度を見直してみても良いのではないだろうか。

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