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柏木陽介の未来日記⑱ レッズでの夢をかなえる

焦ったヤマさんの引退試合

 

 ちょっと1か月前の話で恐縮だけど、7月5日に昨シーズン限りで引退したヤマさん(山田暢久)の引退試合が行なわれた。この試合は、「浦和レッドダイヤモンズ vs レッズ歴代選抜 Rest of the REDS」に分かれて、レッズの現役選手やOB選手たちが一堂に集結した。

 まさに“錚々たる面々”だった。ブラジルやドイツからはわざわざワシントンやポンテ、ブッフバルトといった方たちが海を渡ってやって来たのをはじめ、ブラジル・ワールドカップで戦い終えたばかりのハセさん(長谷部誠)も出場はしなかったものの、ベンチに座ってくれていた。田中達也さんなんてアルビレックス新潟でのプレシーズンマッチがあったにもかかわらず駆けつけた。サポーターの数も3万人を超えた。ヤマさんの最後の雄姿を見ようとね。ヤマさんの歩んできた歴史の素晴らしさを語っている。

 試合に関して言うと、どうやって戦ったらいいか難しかった。最初に点を取らせてみたら、ガチで守ってきて…ちょっと焦ったけれどね(苦笑)。引退試合らしくスコアは6-5とゴールラッシュとなったけれど、最終的には、僕たちもそうだけど、引退した選手がすごくゲーム自体を楽しんでくれていたし、充実したゲームだった

 

“親子共演”を通して見えたヤマさんの偉大さ

 

 一番感動的だったのはやはり、ヤマさんとヤマさんの長男のお子さんが一緒にプレーしたこと。もう高校一年生になるお子さんがいることも驚きだけど、後半途中から歴代選抜チームのFWとしてプレーして、DFに入ったヤマさんとマッチアップするシーンもあった。

 正直、すごく羨ましく思えた。親子で共演することなんてほとんど観られないことだしね。ヤマさんにとっても感無量だったと思うし、息子さんにとってもすごく貴重な経験になったと思う。長男の樹生くんには、絶対にヤマさんのような一流プレーヤーを目指してほしいと思うし、この経験によっておそらく息子さんもそうなりたいと感じたはずだろう。

 ヤマさんは去年の10月にJ1通算500試合出場を達成した。同一クラブに20年在籍した選手はJリーグ史上初という。その記録の凄さもさることながら、7月5日に見せてくれた“親子共演”は、20年間プロ選手としてずっと第一線で戦い続けてきたヤマさんの凄さを改めて証明した日だったと思う。偉大なるヤマさんは僕にとって目指すべき人間であり、尊敬するサッカー選手のひとりだ。

 ヤマさんの引退試合を通して、個人的にも、いろんな人の感覚に触れるのはすごく刺激になる。イメージが膨らむし、僕にとっても本当に新鮮な1日だった。

 

ウッチーにもらった刺激

 

 “刺激を受けた”といえば、ワールドカップ帰りのウッチー(内田篤人)と一緒に食事をして、本当にいろんな刺激を受けた。

 これも1か月前の話になるけれど、その日の夕方に、ウッチーから「今日の夜、ヒマ?」といきなり連絡をもらった。ウッチーは元々、前もってスケジュールを決めて行動するタイプではないけれど、本当に夕方に連絡してくるあたり、さすがウッチー!(苦笑)。

 前々から時間があったらご飯でも食べに行こう!とは話していたから、突然の誘いとはいえ、久しぶりに1対1で話せてすごく嬉しかった。ワールドカップのことや欧州サッカーのことなど、話題はサッカー中心だったけれど、将来のことについて、いろんな話ができてとても刺激になった。

 もともとウッチーは海外に行くつもりはなかったという。しかし、高校卒業後に加入した鹿島アントラーズでいきなりリーグ3連覇を達成したことで「海外」を意識したらしい。そのウッチーから「とりあえず陽介も海外に行けば?」と言われ、「う~ん、レッズで優勝したら(海外移籍を)考えてみようかな」と答えた。

 

 実際、Jリーグで優勝したいと思ってレッズに来たのに、それが実現できていないのに海外なんて考えられない。次のステップを踏み出すためにも、優勝というのは僕にとって絶対的なノルマ。だから今シーズンにかける意気込みは本当に強い。先日、サガン鳥栖に得失点差で首位の座を明け渡したけれど、絶対に首位に返り咲いてそのまま優勝に向けて突っ走るつもりだから、みんなも応援してね。また2週間後!

 

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柏木 陽介

かしわぎ ようすけ

1987年12月15日生まれ。浦和レッドダイヤモンズ所属のミッドフィルダー。
兵庫県神戸市で生まれ、高校時 にサンフレッチェ広島ユースに。サンフレッチェユースの高円宮杯初制覇に貢献するなど活躍が評価されU-18日本代表にも選出される。2006年にトップ チームに昇格。翌年には日本代表に初選出。10年浦和レッドダイヤモンズに移籍。攻撃の要としてチームを支える。

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