◆32時間で会談ができるか!

 いいですか、米朝間には国交がないのですぞ。
 ついでに朝鮮戦争は、1953年の休戦から66年経った現在でも、正式には終結していません。
 国際法上、両国はまだ戦争状態にあるのです。
 2018年6月の第一回米朝会談によってスタートしたかに見えた対話路線も、今年2月の第二回会談が物別れに終わっていらい、暗礁に乗り上げた形になっていました。

 そしてトランプのツイートが送信されたのは、6月29日の午前7時51分。
 板門店で握手が交わされたのは、30日の午後3時45分ごろ。
 経過した時間は、約32時間にすぎません。

 国交がなく、公式には戦争状態にある国同士の首脳の会見が、たかがツイッターひとつで、何の準備もない状態から瞬時のうちに調整され、32時間のうちに実現する。
 本当にそんなことがありうるのか?

 「トランプ大統領らしいやり方」などと感心するヒマがあったら、事前の根回しがひそかに行われていたのではないかと疑うのが、まともな思考能力を持った人間の態度というものじゃないですかね?!

 現に6月24日、BBCニュースの日本語版はこんなことを報じています。

 【北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、アメリカのドナルド・トランプ大統領から親書を受け取った。北朝鮮の朝鮮中央通信が23日、伝えた。

 同通信によると、金氏は親書を「素晴らしい」と称賛。「興味深い内容について真剣に検討する」と述べたという。
 金氏はまた、トランプ氏の「並外れた勇気」をたたえたとされる。】

https://www.bbc.com/japanese/48740854

 朝鮮中央通信が記事を掲載した23日は、会談開催のちょうど一週間前。
 親書の内容は明らかにされていないとのことですが、「興味深い内容について真剣に検討する」とある以上、板門店会見が提案されていたと解釈するのが自然でしょう。

 ついでに北朝鮮は、指導者の体面をえらく重んじる国。
 しかも同国のメディアは、完全に政府のプロバガンダ機関です。
 親書の内容をこれから検討しようという段階で、記事が出ると思いますか?
 朝鮮中央通信の記事には、執務室で親書を読む金正恩の写真まで添えられていたのですぞ。

 裏を返せば、金正恩は23日の段階で、親書の内容をめぐる対応を決断していたに違いない。
 会談開催は、少なくとも一週間前の時点でセッティングされていたということです。