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お犬様! 「生類憐みの令」という異常性を感じる発想は、どこから生まれたか?
歴史上の人物を四柱推命で鑑定! 第61回~徳川綱吉~

歴史上の人物を四柱推命で鑑定! 第61回~徳川綱吉~

■綱吉は、家臣思い、家族思い、そして庶民思いの優れた君主

 

続いて、十二運星を見て、持って生まれたエネルギーを見ていく。

〇長生(ちょうせい):運勢エネルギー9

 順応性が高く、勉強がよくできる。人から信頼を受ける。そのため、保険の営業マンや鑑定士に向いている。また、長生は長男、長女という意味を持ち、家を継ぐ役割を持つ。

 徳川家光の4男として生まれた綱吉。4代将軍であった兄(家光の長男)・家綱との間に2人の兄がいたため、家臣はもちろん、綱吉自身も将軍職を継ぐことになるとは思っていなかったようだ。そのため、母・桂昌院の進めで学者の道を目指し、学問に勤しんでいたようだ。しかし、家光の三男で兄にあたる亀松は3歳、五男で弟にあたる鶴松は1歳で早世し、次男で兄にあたる長丸(後の綱重)は、家綱が亡くなる2年前に亡くなっている。こうして、綱吉は将軍職に就くことになった。

 家を継ぐ役割を持つ「長生」の星を持つ綱吉。本人的には意外であったろうが、すでに生まれた時からその運命にあったのだろうか。

 

〇冠帯(かんたい):運勢エネルギー10

 女王様の星。エネルギーが強く人をまとめるのが得意。社交的な性格であり、中年以降で成功する。「冠帯」は、「建禄(けんろく)」=王子様の星、「帝旺(ていおう)」=王様の星とともに、身強(みきょう)の星の一つであり、エネルギーが高くリーダーシップを発揮できる。

 エネルギーが強い綱吉は、自分で政治を取り仕切りたい願望が強かったのだろう。綱吉が将軍職に就いた当時、政治システムは5人の老中が話し合いで決める合議制で、将軍はその決定事項に従った。これは、初代・家康が決定した制度である。しかし、このやり方に不満を持ったのだろう。合議制の仕組みを変え、老中と将軍の間に、今の内閣の官房長官にあたる、側用人(そばようにん)を作った。そこに就任したのが柳澤吉保だ。側用人は老中に対し将軍の意向を伝える役割を果たしたが、これによりすんなり綱吉の意見が反映できる体制が出来上がった

 

〇墓(ぼ):運勢エネルギー6

 ご先祖とのご縁が深く、守ってもらえる。墓守りの役割を果たす。地味な生活が好きで、仏教を勉強するのが好き。

 先に述べたように、綱吉は桂昌院の進めで学問に勤しみ、特に仏教と儒教を深く学んだ。人間も動物も同じ生き物であるが、仏教の輪廻転生を鑑みると、次に自分達は、動物に生まれ変わるかもしれない。そう考え、生類憐みの令に及んだのだろうか。

 また、綱吉は、釈迦の教えと孟子の教えについて、家臣に何百回にわたって儒教の講義している。両親を大切にするように、家臣同士仲良くするように家臣を諭したようだが、将軍自らが講師の役割を担うのは15代の将軍を見ても異例中の異例であった。それだけ綱吉は仏教や儒教に傾倒しており、それを習得することこそが江戸幕府、そして日本の平和の道と考えたのだろう。

 また、儒教も影響もあってか、あるいは、「墓」の地味好きがたたってか、武士、そして庶民の倹約にも力を入れた。庶民としては自分たちの楽しみを次々と奪われ、これも綱吉のイメージダウンの所以であるが、本人としては相当な信念を持って行っていたのだろう。

 

 今回は、第5代将軍、綱吉を四柱推命鑑定してきた。思った通りの変わり者、個性派、我が道を行くタイプであったが、儒教・仏教を深く学び、厳格な制度をもって、治安のいい江戸幕府を作り上げた将軍であったともいえる。当時、江戸には「かぶき者」と呼ばれる、徒党を組んで暴れまわる反社会的集団がいた。かぶき者は、町で刀を振り回して辻斬りやけんかをしたり、犬を捕まえて食べたりしていた。綱吉は生類憐みの令により、かぶき者を取り締まり、治安のいい江戸を作り出したとも言える。人の価値観を変えるのは、相当な時間がかかるというが、当時生類憐みの令等の極端な法律があったからこそ、江戸の庶民が今の私達に近い価値観を持つようになったと考える。

 独りよがりで仕切りたがり、思い立ったことはすぐにやりたい! そして母・桂昌院の言うことは何でも聞くという性格がクローズアップされる(また四柱推命的にもその性格を持っていたことは明らかである)ことから、人気の薄い綱吉であるが、短所と長所は紙一重。

 四柱推命鑑定を通して、綱吉は意志が強く、厳格で決断力があり、優しくおおらかな側面が見えてきた。歴史的に考えられている綱吉像も決して間違いでないと思うが、あまりにも評価が低いように思う。今回の四柱推命鑑定を通して、少しでも本来の綱吉自身に近づくことができたら幸いだ。

 

■四柱推命とは?

古代中国で生まれた「過去、現在、未来」を予見する運命学のひとつで、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)をもとに、人が生まれながらにして持っている性格、能力、素質を理解し、その人の努力や経験で変わる後天的な運命までも予測することができる。
具体的には、生まれた日(生まれた年・月・日・時間)をもとに命式表(めいしきひょう)を作成し占っていく。なお、ここでは生まれた時間は鑑定に含めていない。
「国史大辞典」に記載されている生年月日を、「和洋暦換算事典」を用いて現行暦に換算し鑑定している。

■用語説明

日柱の干支:その人の本質を表す重要な部分

主星(しゅせい):月柱の蔵干通変星で、その人を表す最も重要な星。主に仕事運を表す。

自星(じせい):日柱の蔵干通変星で、その人のプライベートな部分の性格を表す重要な星。

【参考文献】

「徳川綱吉」福田千鶴 山川出版社 (2010)​

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妃萃(本名:油川さゆり)

ひすい

青森県八戸市出身。慶應義塾大学 社会学研究科 教育学専攻 修士課程修了、同研究科 同専攻 後期博士課程在学中。2013年鳥海流・鳥海伯萃より四柱推命の指南を受ける。これまで500人以上を鑑定。多数の弟子を輩出。

元放送局報道記者。フリーアナウンサーとして、BS11の番組にレギュラー出演しているほか、ナレーターや司会として活動中。日本の歴史、伝統芸能を伝えるため、歴史勉強会、その他イベントを主宰。自身も大和言葉、辞世の句、武田氏と油川氏等について講演活動を行う。合同会社真己、共同代表。また、2016年6月から「カミムスヒ」というソングユニットで歌手活動を開始。手話検定3級、ホームヘルパー、視覚障害者ガイドヘルパーの資格を持ち、社会福祉活動に積極的に携わる。


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