■綱吉は決して犬好きではないことが明らかに!?

 

 続いて、通変星、蔵干通変星から綱吉の性格を読み解いていく。通変星、蔵干通変星をわかりやすく円グラフに表すと下記のようになる。

 

知性…様々な分野の知識が豊富で、何かを学ぶことに喜びを感じる。頭の回転が速く、物事を論理的に捉えることが上手

行動力…頭で考えるよりも行動で結果を出す。未知の分野に挑戦する意欲が強く、交渉力や営業力を磨けば成功できる

人脈…さりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる。サービス精神が旺盛でコミュニケーション能力も高く人を動かせる。

自立心…他人に依存することなく、自分が信じた道を突き進む強い精神性。リーダーシップを発揮しフリーで活躍できる。

遊び心…楽しいことを企画する等、生活に遊びを取り入れることが自然とできる。芸術面の才能があり、表現力が豊富。

 

○遊び心40%!(食神2つ)

 遊び心は、生活に遊びを取り入れることが自然とでき、芸術面での才能がある星。中でも「食神(しょくじん)」は、おおらかで遊び好き、子どもが好きで子宝に恵まれる。楽しいことをして生活したいという、子どものような星。この星を2つ持っていた綱吉は、これらの性質が強かったものと予想される。

 ドラマや映画で演じられる綱吉は、このようにおおらかなイメージが強い。母・桂昌院の言うことをにこにこしながらよく聞き、犬をめちゃめちゃにかわいがる…。鑑定結果から見ると、確かにこのようにおおらかな部分があったのかもしれないが、最近の研究で、綱吉は決して犬好きではないことが明らかになった。また、歴史の書物から読み解く綱吉はどちらかというと、生類憐みの令に代表されるように、厳格なイメージだ。

 綱吉は昔から死に対して潔癖な考えを持ち、死や血に触れることによって不吉なことが起きると思っていた。兄・家綱が亡くなった時も、食事や飲み物を控えて家綱が使用したトイレを使わなかった。また、蚊をつぶして頬に血がついていた家臣を処罰したり、綱吉の肌着に血がついていたことに立腹し家臣に謹慎を命じたりと、その気遣いは異常なほどであった。以前、綱吉の父・家光を鑑定した時も同様であったが、綱吉は本来おおらかさを持ちながら、将軍として生活するために、その性格を封印せざるを得なかったのだろうか。はたまた、資料に残っていないだけで、ドラマや映画に登場するような、ぼんくらなまでの穏やかさを持ちあわせていたのだろうか。

〇知性30%(偏印)

知性は何かを学ぶことが好きで、物事を論理的に捉えるのが得意。中でも「偏印(へんいん)」は、知的好奇心が旺盛で、アイディアや発想力がある。変わり者、個性的で放浪好きである。海外が好き。

 上記に述べたように、死や血を異常に恐れたことから、相当な変わり者であることは容易に予想される。また、健康や長生きに興味を持ったのか、外国の文化に興味を持ったのか、オランダ商館の医師・ケンペルと会った折には、西洋医学について質問攻めをしている。「内科、外科の病気のうち、なにが一番重く危険だと思うか」「癌などの胎内の潰瘍の対処法」「ヨーロッパの医師がすでに長寿の薬を発見したのではないか」等と問い、ケンペルが「どうすれば人間は高齢になるまでおのれの健康を保てるかという秘薬を発見しようと毎日研究しております」と答えると、綱吉からさらに具体的な薬の名前をと問われている。その翌年、同様の場でも、ケンペルにいかなる重病を治したのかを聞きたがった。

 知性が持っているだけあって、知的好奇心が高かったようだが、その興味はなかなか個性的で、関心は外国にも向いていた。

〇行動力20%(偏官)

行動力は、頭で考えるよりも行動で結果を出そうとする星。中でも「偏官(へんかん)」は、攻撃的行動的な星。野性的で思い立ったら即行動する。

 24年の間に130回以上も出したといされる生類憐みの令。次々出されるお触れに、庶民はずいぶんと振り回されたという。また、庶民の娯楽であった釣りを禁じられ、鳥や貝、エビなどの料理が禁止されたため商売や生活にも支障が出た。この数の多さと細かさに、綱吉の思い付きで行動する性格が見て取れる。

 また、赤穂事件、いわば浅野内匠頭による吉良上野介への刃傷事件が起きたのも、綱吉の時代であった。当時は喧嘩両成敗だったので、本来であれば両方が処罰されるところだが、綱吉は浅野内匠頭のみを処分した。この日は幕府が朝廷の使者を接待している真っ最中だったということもあってか、綱吉も頭に血が上ったのだろう。吉良上野介をなぜ切りつけたのかという理由をろくに聞き出すこともせず、浅野内匠頭に対して即日切腹を言い渡している。この沙汰については「不平等である」と今でも綱吉が批判される所以の一つとなっている。

 攻撃的で即行動派の綱吉をイメージできるエピソードである。なお、綱吉がなぜ浅野内匠頭のみを処罰したかということについては、ただの不平等で考えなしだったという理由だけでなく、最近では血を異常に恐れる綱吉が、江戸城が血で汚されたことに激怒したためだと考えられる。(いずれにせよ頭に血が上りやすい性格だったのだろう)

〇人脈20%(偏財)

 人脈を持っている人は優しく、誰とでも仲良くでき、コミュニケーション能力の高い。中でも「偏財(へんざい)」は、幅広い人脈を持つが、お人好しで人に騙されやすい面を持つ。

綱吉は生き物を大切にしようとする慈悲の心が強かったのだろう。生類憐みの令は世界に先駆けた福祉政策であったことは先に触れたが、同時に世界に先駆けた、動物愛護法であった。

 その対象はもちろん犬に限らない。馬にたくさんの荷物を背負わせたら虐待であるとして、極端な荷積みを禁止した。また、当時町では虫を集めて虫の音を聞く「虫聞き」がはやっていたが、そのように虫を利用するのは虐待であるとしてこれも禁止した。また、犬、猫、ねずみに芸を教え見世物にしてはいけない、イモリの黒焼きもダメ、と極端なまでに禁止事項を掲げた。このような動物愛護の精神が生まれるのは、外国においても19世紀以降。綱吉は150年も早く動物保護を訴えていた。やり方については様々意見があろうが、そこまで動物を気に掛けるとは…。綱吉が慈悲深く優しい人物であったことは間違いあるまい。

〇自立心10%(比肩)

 自立心は、他人に依存することなく自分が信じた道を突き進む強い精神性。リーダーシップが強い。中でも「比肩(ひけん)」は、一匹狼で職人肌。頑固で人の意見に惑わされず、自我を貫く性質がある。

 綱吉は「思無邪(思いよこしまなし)」と自筆した一幅を残している。60歳を超えた綱吉晩年の思想の一端を表すものと思われる。そんな綱吉は、遺言として生類憐みの令の継続を固く言い渡した。しかし、綱吉の死とともに、綱吉が築いた政治はすぐに終焉を迎え、生類憐みの令も撤回された。

 本人としては最高の政治を作り上げたつもりだったのだろうが、少し裸の王様感が否めない…。専制君主と言われるのも致し方なしだろう。頑固な比肩の性格がよく見える。