ブラックマヨネーズ・吉田敬がその“黒さ”を筆にのせ、猛毒を吐く新刊エッセイ『黒いマヨネーズ』が話題だ。鋭い社会への提言あり。どうしようもない人間への愛あり。激しい自己嫌悪あり。とかく世知辛い世を生きる現代人は共感しきりの内容なのだ。天才コラムニストとなった吉田は何を想い筆をとったのか。インタビューを前後編でお届けする。<前編>

■浮気ぐらいで…

 

――今回の『黒いマヨネーズ』、アラフォー男にとってはうなずけるところが多かったです。どんな想いで書いていたのでしょう。

吉田 この本は「紺色のカラス」という連載をまとめたものなんですけど、たとえば「浮気と不倫は全然ちゃうねんから、浮気ぐらいでガタガタ言わんといてくれ」ということを書いた時っていうのは、まさに世の中がワイドショーで人の浮気とかをめちゃくちゃ取り上げてたタイミング。今だったら、みんな食傷気味になってるんで「浮気ぐらい」って言っても良いと思うんですけど、あの時は場合によっては思いっきり叩かれて、もう仕事もなくなるかもわからんなという思いで書きました。で、いざ世に出たときに何の反応もなかったんですけど(笑)。

――これは越えていいラインなのか迷いますし、書くのは勇気がいりますよね。

吉田(浮気を)肯定するっていうことが今以上にちょっと難しい時やったと思うんです。とらえようによっては、まあ怒る人もいる。ポリティカルコレクトネスでしたっけ? そんなんにつかまったら何か言われるんかな、と思いながら書いたコラムでした。他に選挙権のやつもそうなんですけど。選挙権取り上げろっていう。

――「75歳以上の選挙権を取り上げろ」というやつですね(笑)。

吉田 はい。いちおう小さな世界の中でですけど、自分なりに挑戦した回というのはありました。

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