今春、『誰かが私をきらいでも』(KKベストセラーズ)を上梓した及川眠子さんと、『違和感のススメ』(毎日新聞出版)を上梓した松尾貴史さん。両名の書籍発売を記念して、4月16日にロフトプラスワンウエストでスペシャルトークセッションが行われた。

 第2回の記事では「SNS」をテーマに、匿名ユーザーによる攻撃的な書き込みに話題が及ぶと、有名人として“標的”にされやすい両名は「人を嫌うことを脅しの道具に使う人は、自分にもその脅しが向けられる可能性に気がついていない」(松尾さん)や「嫌われることを怖れたら表現活動はできない」(松尾さん)と、それぞれの見解を語ってくれた。

 最終回となる第3回のテーマは「自主規制」。芸能人が麻薬で逮捕された際、業界が慌ただしく自粛に動き出すことは、果たして適切な対応と言えるのか? 松尾さんは「規制する判断基準が不明瞭」と苦言を呈し、また及川さんは「安易な規制は業界の衰退を招く」と“言葉狩り”についても警鐘を鳴らす。

 

及川―――TwitterなどのSNSを見ていて思うのは、人を嫌うような書き込みをする人が多い一方で、人から嫌われることを異常に怖れている人も多いということ。でも、その「人から嫌われたらどうしよう」の思考から抜け出せたら、もっと生きやすくなると思うんですよ。

 

松尾―――及川さんの『誰かが私をきらいでも』も、それがテーマですよね。嫌われたいわけじゃないけど、嫌われることは厭わない。

 

及川―――そうです。ホント、いろんなところで「生きづらい」って言葉を目にするんだけど、生きづらくしてるのは自分自身の考え方なんですよ。彼らに「その生きづらさはどこから来ているの?」と尋ねると、「う~ん……思った通りに上手く行かない」とか言っちゃう。でも、そもそも思った通りに行くワケないんだよ、人生ってのは。私だって、この歳になってもまだ上手く行ってないと思ってますし。

 

松尾―――人間って強欲ですよね。全く以て上手く行ってないと思っちゃうし、かくいう僕もその1人。これまでの人生で、「この人に出会えて良かった!」とか「あの選択をしていて良かった!」とか、たしかに良いポイントはいっぱいあった。でも、継続した人生を眺めると、上手く行ってないなと思ってしまう。

 

及川―――私も、それほど間違った道を進んではいないと思う。人生の節目のような選択も失敗してないけど、上手く行っているかと言われるとそうでもないかな。

 

松尾―――僕の芸能生活は、デビュー当時に中島らもさんと出会えたことが本当に大きかった思うんです。ただ、ここで自分の判断を褒めたい部分が1つあって、らもさんとずっと一緒にいたのに、僕自身は一度も麻薬に手を出していない。これって、すごくないですか?(笑)。

 

及川―――うん、たしかに(苦笑)。

 

松尾―――らもさんからも日頃から「君は絶対に(大麻を)やるなよ」と言われていましたから。らもさん自身も「俺はアムステルダムで大麻を吸うことはある。でも、国内ではやらないからな」と。まあ、実際は日本でもやってましたけどね、あの人(笑)。

 それにしても、昔の業界人って麻薬を常用している人が多かったですよね。若手時代に「芸能人なら、マリファナくらいやらなきゃダメだ」と勧めてくる人もいましたし。