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『消えたお妃候補たちはいま』から紐とく、天皇陛下の雅子さまへの想い―後編

天皇陛下と皇后雅子さまがご成婚に至るまでを“皇室の婚活”という視点で読む

理想の女性との結婚が叶わなくても、30歳までの成婚を目指してお妃探しが止むことはない。どんなに傷ついても一時休止すら許されない“皇室の婚活”。依然として外務省や経済界、音楽関係者などから有力候補のリストアップは続けられていた。

そうして昭和が終わるまでに、本書に登場する「消えたお妃候補たち」は60人にのぼっている。

 

時代が変わり、1989(平成元)年9月の皇室会議で弟の礼宮さま(当時)の結婚が先に決まった。浩宮さまは皇太子となり記者会見で

「(焦りのようなものは)まったくございません」

「二人の結婚は私も強く勧めたところです。私についてはマイペースでやっていきたい」

「結婚はそれに至るプロセスが大事。だからどんな形の出会いにしろ、お互いが何回か会うことが必要だと思います」と語った。

一見すると頑ななコメントに、もし現代の結婚相談所であれば「理想の条件のうち譲れるものはありませんか」「目の前のお相手の良いところにも目を向けてみましょう」「恋愛結婚にそんなにこだわらないで、結婚してから愛情を育てていく楽しみもありますよ」などと矢継ぎ早にアドバイスが飛んできそうである。

 

しかし言われるまでもなく、1990年代に入り30代になった皇太子さまは

「若い人と積極的に会っていくという姿勢は変えないつもりです」

と以前語ったように、学習院時代のご学友や学長が設定してくれた出会いの場やカラオケパーティーなどを活用し、年下の候補者たちと交流をはかっていた。ただ、

「10歳くらい年が離れている人たちと会う機会がありますが、いろいろな点でジェネレーションギャップを感じます」「10歳は離れすぎだと思います」

と、1991(平成3)年2月の「立太子の礼」を前にした会見で述べている。

 

次のページ最後の決意とお妃探しの終わり、そして今

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消えたお妃候補たちはいま ―「均等法」第一世代の女性たちは幸せになったのか

小田桐 誠

 

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皇后雅子さまと他の候補者たちを分けたもの

それぞれを待っていた未来は

 

令和時代が幕を開け、皇后となった雅子さまに大きな注目が集まっている。現在の皇室も結婚問題に揺れているが、天皇陛下が雅子さまを射止めるまでの「お妃選び」も、初めてお相手候補の報道が出てから15年という長期にわたり世間の耳目を集めるものであった。

その間、リストアップされた有力候補者たちは本書に登場するだけでも70名。雅子さまとのご成婚に至るまでに、家柄も学歴も申し分ない候補者たちがなぜ、どのようにリストから消えていき雅子妃が誕生したのか。

外務省でのキャリアを捨てて皇室に入られた雅子さまと、消えたお妃候補者たちは同世代で、いずれも「男女雇用機会均等法」第一世代。四半世紀を経た今、果たしてそれぞれの幸せをつかんでいるのか――克明に追ったルポルタージュ。

 

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小田桐 誠

おだぎり まこと

ジャーナリスト

1953年青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。



出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。



放送専門誌『GALAC』編集長、BPO「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事選奨事業委員会委員長、法政大学社会学部兼任講師を経て、現在、メディア総合研究所運営委員、立教大学と武蔵大学社会学部兼任講師。



著書に『企業脅迫!——グリコ・森永事件の構図(社会思想社)』、『PTA改造講座』(NHK生活人新書)、『テレビのからくり』(文春新書)、『NHKはなぜ金持ちなのか?』(双葉新書)などがある。『日刊ゲンダイ』毎週月曜日発売号に「MC・コメンテーター診断」を連載中。


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  • 小田桐 誠
  • 2019.05.25