日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

 連休中には「こどもの日」もあったことから、各地で鯉のぼりが元気に泳ぐ光景が見られた。「こどもの日」は、かつては「端午の節句」と言われ、子供の健やかな成長を願う行事として奈良時代に中国から伝わった風習とされる。

「こどもの日」には、鯉のぼりを揚げたり、鎧兜(五月人形)を飾ったりして子供の成長を祝う。名字の中にも、「こどもの日」に関係していそうなものもある。鯉幟(こいのぼり)という名字はないが、鯉登(こいのぼり・こいと)や鎧(よろい・あぶみ)・兜(かぶと)・刀(かたな)・弓(ゆみ)・武者(むしゃ)・人形(ひとかた)などがある。

 

 また、端午の節句の日に入る湯として知られる菖蒲(しょうぶ・あやめ)という名字や、食べる物としては粽(ちまき)や柏(かしわ)・餅(もち)など、屋外では鯉のぼりの泳ぐ空(そら)や大空(おおぞら)・青空(あおぞら)などの名字がある。

 ちなみに、端午の節句に菖蒲湯に浸かるのは、昔から菖蒲は病気から身を守る薬草とされており、子供の成長とともに大人の健康も願って行われた風習と思われる。これらの名字は、全てが端午の節句から生まれた名字とは限らず、鎧や兜・刀・弓などの名字は戦国武将の装束として、それらの製作に係わったことから生まれた名字と考えられる。武者の勇ましさから、そのような立派な人間に育ってほしいとの強い思いでこどもの日には鎧や兜が飾られる。