■ペナルティゴールはトライ以上の破壊力?

福田 そういえば、今の日本代表のチームコンセプトが「キックを上手に使い、攻撃にバリエーションをつけるスマートなラグビー」ということでしたけど。現代ラグビーでは、キックの重要性が増しているんですか?

大西 実はそうなんです。背景には、どのチームもディフェンスのレベルが上がっているので、キックを交えないとなかなか得点できなくなっているんです。なのでテストマッチなど試合のレベルが上がれば上がるほど、基本的な攻め方として、序盤はペナルティゴールでコツコツ点数を稼ぎ、相手にプレッシャーをかけていく戦術が有効になります。

福田 でも、ペナルティゴールってたった3点ですよね? それぐらいじゃプレッシャーにならなくないですか?

大西 もちろんたった3点だったら、トライを取られただけですぐ逆転されてしまいます。でも3点を積み重ねることができれば、ボクシングのジャブのようにじわじわ相手にダメージを与えることができます。ラグビーはまず9点差、つければ安全圏といわれますが、3回ペナルティーゴールを決めれば一歩リードできるのです。

福田 9点差…そうか、トライ+コンバージョンキック=7点でも届かない。

大西 試合序盤でまず9点差をつけて、相手を焦らせて精神的なプレッシャーを与える。そして、そのスキを突いてトライを狙い、さらに点差を広げる。これがテストマッチレベルでは理想的なゲーム展開と言えるでしょう。さらにペナルティーゴールのいいところは、仮にゴールが外れても相手ボールのドロップキックでプレーが再開、そのボールをしっかりとまた確保できれば敵陣でプレーができる。つまりまた攻撃が続けられるのです。

福田 なんとなくキックって地味で消極的なプレーというイメージがありましたけど、精神的に優位に立てるという意味でかなり攻撃力があるんですね。

大西 そうです。思ったよりアグレッシブなんです。これからラグビーを観る上で、キックにも注目してみてください。