■霜注意の八十八夜

写真を拡大 江戸時代の端午の節句の様子(『東都歳事記』)。

 5月の行事といえば5月5日の端午の節句だが、その前に訪れる八十八夜について簡単に説明しておきたい。

 八十八夜は立春から八十八日目の日のことで、今年は5月2日になる。
 「米」という字を分解すると「八、十、八」となることから、八十八は米作に関わる聖数とされることがあるが、八十八夜はむしろ畑作にかかわるものだ。すなわち、八十八夜頃は寒の戻りで遅霜が下りることがあるので、その注意をするというのがこの暦日の意味とされるからだ。
 逆にいえば、この日を無事に過ごせば霜の心配もなくなるわけで、ここから「八十八夜の別れ霜」といったりする。もちろん、備えを怠ったりすると、「八十八夜の泣き霜」ということになってしまう。

 八十八夜に摘んだお茶は最高級品とされ、長寿になる効能もあるといわれることがある。
 幕府に献上される宇治茶も八十八夜頃に摘まれ、茶壺に詰められて江戸に運ばれた。この一行のことをお茶壷道中といった(正しくは宇治採茶使)。

 なお、八十八夜は二十四節気・七十二候に含まれない雑節である。それも日本独自のもの。日本の風土に合わせて考え出されたものなのだろう。

 余談であるが、88歳の祝いを米寿と呼ぶのも、米字を分解すると八十八になることからきている。