■目の前の人を喜ばせる

 いまは、TVの仕事とは違った充実感に満ちている。

「(TVの仕事も)どっちも楽しいですけどね。でも、公園の読み聞かせはほんとうにやってみて、心が豊かになるじゃないですけど、ものすごくホカホカした気持ちでいつも終わることが多いんです。たとえば小学生の女の子が寒い中ぼくに缶コーヒー買ってきてくれたり、帰り道駅までおくってくれたりとかするんですよ。女の子5~6人、駅までの道をずっと自転車で後ろから『小島よしおここにいま~す』って言いながらついてくる。これがTVの仕事だと、ロケの進行があるから、遠ざけちゃったりするじゃないですか。それと真逆で、むしろ呼び込んで、どんどん撮影してくださいという感じ。面白いし、新鮮ですよ」

 絵本の読み聞かせを通じて「目の前の人を喜ばせる。笑わせる」というシンプルなモチベーションがわいてきた。いまはそのことに全力投球。

 また、かつては仕事とプライベートを区切ってしまう所があったそう。一度売れてしまったことで、なくてもいい自意識が植え付けられてしまったのかもしれない。

「どこで習ったのか、なんでそうなっちゃったのかわからないですけど、そういう自分がいて。でも、この読み聞かせをやることで、覆われていた殻がむけていく感じがすごくあります」

 小島さんは穏やかな顔で心境の変化を語った。

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