新元号が発表される4月1日が近づいてきました。天皇陛下は、昨年12月24日の記者会見の席上で、「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」と述べられましたが、確かに、近代天皇制が確立してから後の、明治、大正、昭和という3つの時代は、「戦争」に翻弄(ほんろう)されてきました。これに対し、ようやく平成という時代が「平和」のバトンを持ってスタートし、いよいよ次の走者にそのバトンが手渡されることは、本当に喜ばしいことです。ぜひこの格好の機会に、元号について学び、元号、そして日本の将来像を考えていただければ幸いです。

■いよいよ近付いてきた4月1日

 安倍首相は、平成31(2019)年1月4日、伊勢神宮で記者会見を行い、新元号は4月1日に閣議決定・公表すると明らかにしました。最新の情報によりますと、この日、菅官房長官はそれまでに提出された複数の新元号案を、「元号に関する有識者懇談会」を開いて有識者として選ばれたメンバーに示して意見を聴取します。その上で、安倍首相が絞り込んだ原案を衆参両院の議長・副議長に示して更に意見を聴取し、その後の全閣僚会議で原案を協議し、いよいよ新元号を記した政令を臨時閣議で決定する見込みです。

 新元号は、直ちに天皇・皇太子にも報告され、直ちに菅官房長官が記者会見を行って国民に公表する見通しです。今回、この「元号に関する有識者懇談会」を構成する有識者候補としては、山中伸弥・京大教授や林真理子氏(作家)、宮崎緑・千葉商科大学教授、日本新聞協会長を務める白石興二郎・読売新聞グループ本社社長、上田良一・NHK会長、民放連会長を務める大久保好男・日本テレビ社長ほかの方々の名前が挙がっているようです(「新元号は、もう決まっている!」『週刊ポスト』3月22日号より)。

■新元号の予想が行われているようですが…

 新元号の予想が不謹慎とされたこれまでの改元とは異なり、「譲位」による改元ということで、テレビ番組をはじめとして、巷では新元号の予想が盛んに行われています。例えば、昨年、ソニー生命保険株式会社が実施した「平成生まれ・昭和生まれの生活意識調査」によれば、予想される新元号のベスト10は、以下のような結果になりました(同社のHPより)。

①平和 ②和平 ③安久 ④未来 ⑤自由 ⑤新生 ⑦大成 ⑧羽生 ⑧希望 ⑩安泰 ⑩安寧 ⑩太平

 フィギュアスケートの羽生結弦選手や、将棋の羽生善治永世7冠に因むとみられる⑧の「羽生」はご愛敬として、③の「安久」以外は、既成の熟語から選ばれています。しかしながら、前回見たように、「明治」は『易経』の「聖南面而聴天下、嚮明而治」から、大正も『易経』の「大亨以正、天之道也」から、「昭和」は『書経』の「百姓昭明、協和万邦」から、そして「平成」は『書経』の「地平天成」と、『史記』の「内平外成」を出典とし、それぞれ新たに漢字2字が組み合わされて元号が誕生しています。新元号も、このように、既成の熟語からは選ばれず、漢字2字が新たに組み合わされて誕生するものと思われます。

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