優しくて大好きだった祖父にやっと会えた

 よく遊びに連れて行ってくれて、優しくて大好きだった祖父は、二か月後に警察の方により海辺にて見つけられた。再会した時には涙がたくさん出たそうである。

 たとえたった一言でも、その裏側に大きなものが湛えられていれば、人の心は動かされるということを教えてもらった気がした。この詩を今でも大事にしている。

 当時の菊田くんは小学校五年生。私の息子は小学校六年生だった。卒業を控えていた。震災後の福島県の学校では卒業式がほとんど実施されなかった。様々な状況下でそれは仕方のないことであったが、父親としては味わわせてやりたい思いもあった。

 余震がおさまり、一時的に避難していた子どもたちがしだいに戻ってきた。息子も山形へと行っていたが、友だちが地元に帰ってくるというので一緒に通いたいという気持ちが強くなって帰還することにした。四月から地元の中学校へと入学した。かなり後になってからその校舎の体育館を借りて、卒業式は実施された。入学式の後の卒業式だった。とてもありがたかった。

 少しずつ春が近づいてきた。めぐる歳月に祈りたい。

(月刊一個人4月号「詩歌の一撃」より)