京都で割烹・小料理屋というと、ちょっと敷居が高いように感じられるが、親しみやすい店も数多くある。京都人に愛される地元志向の店へご案内。

仁和加(京都市役所前)

夫婦の温かなもてなしと旬味を目と舌で心ゆくまで味わう

 

 7席だけの清々しいカウンター。黒板には「本日の料理」がずらりと書か れているが、一品700円〜と財布に優しい価格だ。主人の内藤勇次さんが旬の野菜や魚介を丁寧な仕事で仕立てた料理を、骨董や現代作家の器に美しく盛りつける。休みともなれば、奥さんの淑美さんとふたりで各地を旅して旨い酒や食材、味噌や醤油、スパイスなどの調味料を探すが楽しみだそう。 常に〝より美味しいもの〟を目指す主人夫婦の姿勢が何より嬉しい。

一品ごとに映し出される美味しさを求める実直さ

本日のお通し:季節の魚菜を盛り込んだお通しは、あおやぎと 九条ねぎとうどのぬた、青大豆のお浸し、鯖寿 司の3品。 席料1000円(税別)でお通しがつく。

 

 料理はまず、お通しから。青大豆のお浸しに、隠し味の山椒をキュッと効 かせるあたりからして、なんとも心憎い。 どの料理も素材を丁寧に扱い、本来の持ち味プラスアルファの旨みがしっかり引き出されている。最初の3品からも主人が創意工夫の人ということが伝わってくる。

 椀ものも同様で、山菜と生麩に衣をつけてカラリと揚げて、白味噌仕立てに。甘すぎないのにコク深い白味噌は滋賀県の味噌蔵のもの。絶にして妙なる味わいはため息ものだ。

 夫婦二人で日本酒好き。二人の出身地、 愛知県の地酒を始め、中部、関西の珍しい銘酒が揃う。お通しからして、日本酒が恋しくなる巧みな味の数々。料理にも夫婦の人柄にも魅了されて、すぐにまたここに来たくなってしまう。

住所:京都市中京区押小路御幸町西入橘町609
☎075-708-2923
営業時間:17:00〜23:00(最終入店22:30)
定休日:水曜(不定休あり)
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