街なかにリクルートスーツを着た若者が増えてきた。今年も就活シーズンが到来。就活生はいま、将来自分が働くことになる場所を慎重に見定めている。そこに「若い人のほうが案外正しいのかもしれない」と言う社長があらわれると、きっと目がキラキラ輝くはずだ。日本マクドナルドを創業した藤田田はそんな若い力を大事にした経営者だった。『クレイジーな戦略論』より。

■人間ひとりの経験なんかたかが知れている

 自分の歩んできた道が正しいという観念から抜けられないと、若い人を見ると間違っていると思ってしまう。しかし、若い人のほうが案外正しいのかもしれないのだ。

 

 私は、今日、入ってきた若い社員の考え方を採用してやるべきだと考えている。若い社員の考え方が、あすの世界の考え方になるのではないかと思っている。

 そのために年間を通じて社員から、グッドアイデアを募集している。

 すると毎月、150ないし250件のアイデアが全国の社員から寄せられてくる。1984年度は1660件のアイデアがだされ、その中から140件がグッドアイデアに選ばれた。

 

 その中から最優秀賞に3名、優秀賞に4名を選んで表彰した。

 社員がだしてくるアイデアは、ほんのちょっとしたことだが、会社にとって非常にプラスになることが多い。

 現場の人間でなければわからない、ロスをはぶくアイデアであったり、時間短縮のアイデアであったり、売り上げの伸びにつながるアイデアであったりして、感心させられるものが多い。

 たとえば、トッピングといって、アイスクリームにチョコレートをかけるのに、スプーンを使う。

 ところがチョコレートの容器にトッピングのスプーンを入れておくと、容器の中にスプーンが滑り落ちてしまう。だから、スプーンの柄の真ん中のあたりに引っかけるものをつくって容器のふちに引っかければいいといったものなどもその一つである。

 看板一つにしても、看板の横に懸垂幕をぶらさげれば、どこからでも見えるというアイデアがだされたりする。今まで気がつかずに見落としていたものである。そういったものは、さっそく取り入れて活用している。

 こうした社員のアイデアは、単に会社のプラスになるだけでなく、社員に会社の経営に参画しているという自覚を抱かせる。

 そうすると、給料分だけ働けばいいというのではなく、積極的に働こうという意欲を起こさせることになり、それがお客へのサービスの向上などにつながり、会社にとって大きなメリットになるのである。

『クレイジーな戦略論』より構成)