教育改革が叫ばれる日本にあって、現場の教員たちはまだ変わりきれていない。サラリーマン的意識、画一的な授業内容…と課題が山積。一方、そんな状況にあって声を上げ、情熱を持って改革をすすめる教育者達もあらわれ始めている。ジャーナリスト前屋毅氏が追う。

■いきなり訪ねてくる教育長

 何の前ぶれもなしに学校を訪ねてくる教育長がいる。広島県福山市の三好雅章教育長だ。

 

 教育委員会、しかも教育長の訪問となると、事前通告が一般的である。それにあわせて学校側では、それなりの準備をするわけだ。

 

 一般企業でも、たとえば社長が工場視察をするとなると、それなりの準備が行われる。「それなり」どころか、それこそ天地がひっくり返るくらいの大騒動になることも珍しくない。学校の場合も同じだ。

「私は校長を1年3カ月やりましたが、その前は県の教育委員会で10年、市の教育委員会で8年仕事をしました。教育委員会として校訪問したときと、学校で迎える側になったときの違いは、かなり衝撃的でした。教育委員会が来るとなると表面的には良くみせるんですが、普段はそうなっていないことが多いんです」

 と、三好教育長。だから突然に行って、普段の姿をみようとしているのだ。かといって、学校や教員の粗探しをしているわけではない。教育長として何を守り、何を変えていったらいいのか、判断を誤ることにもなりかねない。

「学校を突然に訪ねるのは、教員と近い距離で話すためでもあります。事前に準備されたら、気軽に話すなんてできませんからね」

 さらに、三好教育長は続けた。「私がやろうとしていることを校長に伝えても、そこで止まってしまうこともあります。先生方と直接話せば、もちろん全員ではありませんが、理解してくれる先生はいるし、変わる人は確実に変わっていきます。それには、近い距離で、話す必要があるんです」

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