歴史上の人物に迫るには様々なアプローチがあるが、ここでは四柱推命(しちゅうすいめい)という手法を用いて、歴史上の人物がどんな性格であり、なぜ成功したのか(失敗したのか)を読み解く。※四柱推命と用語の説明はページの最後をご覧ください。

 トルコで大ヒットし世界80か国で放送され話題となっているテレビドラマ、「オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~」が2017年から日本でもテレビ放映、ネット配信が始まった。筆者もレンタルショップでDVDを借りて夜な夜な楽しんでいる。今回は、そのドラマの中心人物、オスマン帝国の第10代皇帝で、オスマン帝国を最盛期に導いた、スレイマン1世を四柱推命鑑定する。

スレイマン1世(1494-1566)
生年月日:1494年11月6日

 

 

それでは、上の命式表を見ながら鑑定していく。

○日柱の干支:「乙卯」(きのとう)

 これは、「乙(きのと)」は自然界の物質に表すと草木やツタ、花、「卯(う)」は季節で春を意味することから、「乙卯」は春の草木と解釈できる。春の草、花というと、長い冬を終え雪解けとともに芽吹き、新しい季節の始まりに希望と期待を与えてくれる。ツタは一人で上に伸びることができないように、「乙」の人は誰かに頼っていきたいという依頼心が強い。

 対外遠征を重ねオスマン帝国を最盛期に導いたスレイマンには強靭なイメージがあるが、人に頼って生きたいというかわいらしい部分もあったのかもしれない。スレイマンの片腕に大宰相のイブラヒムがいるが、スレイマンはイブラヒムを自らの分身とみなして全幅の信頼を置き、自分の判断を要しない全ての業務を任せていた。そして、イブラヒムが消えうせた後も、その習慣は変わらず、責任を宰相中の第一人者に任せ続けたという。また、妻・ヒュッレムには頭が上がらなかったと言われる。ヒュッレムらは自分の子ども(長男以外)を次のスルタンに据えるべく、ある情報をスレイマンに吹き込んだ(と言われる)。長男・ムスタファが父・スレイマンを退任させスルタンになるべく、ペルシャのサファヴィー朝と通じていると…。すっかりこの情報を信じ込んだスレイマンは大激怒。ムスタファを殺してしまった。ムスタファは頭がよく統率力もあったそうで、最もスルタンにふさわしいと言われていたようだが、人に頼りすぎていたのだろう。結局、次期スルタンはヒュッレムの意向通り、セリム2世に譲られたが、彼は「酔っ払い」の渾名を持つように、もっぱら飲酒と女性に耽っており、このことがオスマン帝国衰退を招いたともいわれる。

 同様に、日柱の干支に「乙卯」を持つ有名人として、萩本欽一やジャイアント馬場がいる。

 続いて、通変星、蔵干通変星からスレイマン1世の性格を読み解いていく。通変星、蔵干通変星をわかりやすく円グラフに表すと下記のようになる。

 

知性…様々な分野の知識が豊富で、何かを学ぶことに喜びを感じる。頭の回転が速く、物事を論理的に捉えることが上手

行動力…頭で考えるよりも行動で結果を出す。未知の分野に挑戦する意欲が強く、交渉力や営業力を磨けば成功できる

人脈…さりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる。サービス精神が旺盛でコミュニケーション能力も高く人を動かせる。

自立心…他人に依存することなく、自分が信じた道を突き進む強い精神性。リーダーシップを発揮しフリーで活躍できる。

遊び心…楽しいことを企画する等、生活に遊びを取り入れることが自然とできる。芸術面の才能があり、表現力が豊富。

ヒュッレムの墓

〇自立心70%(劫財3つ、比肩1つ)

 自立心の星は、自分の信じた道を突き進み、リーダーシップを持っている。中でも「劫財(ごうざい)」は、大企業の社長タイプ。組織をまとめることが得意で、欲しいものはどんな手を使っても手に入れたい!という強い星。「比肩(ひけん)」は、一匹狼で職人気質。頑固で負けず嫌い、マイペースであり、強い自立心を持っている。

・「八相局(はっそうきょく)」を持っている!

 八相局とは、通変星の中に同じグループの星を4つ以上持っている人のこと。「比肩(ひけん)」と「劫財(ごうざい)」は同じ自立心の星であるが、これらを合わせて4つ持っているため、スレイマンは八相局となる。

 八相局は、とにかくスケールが大きくエネルギーが強い。人間は悪くないが、悪知恵が働き法律すれすれのことをやる、いわゆる政治家の参謀タイプである。これまで鑑定した歴史上の人物では、徳川家康の長男・松平信康と井伊直政、井伊直弼の参謀・長野主膳がこの八相局を持っていた。爆発的なエネルギーと悪知恵が働くニュアンスがイメージできるだろうか。

 スレイマンの場合、自立心の星を4つ持ち合わせていることから、八相局の中でも最もスケールの大きい、劫局(ごうきょく)となる。悪知恵、策略が抜群のため、政治の世界では裏側で成功。人付き合いが上手で社交性は見事、海外で成功するタイプ。この国では収まりきらない自立心を持っているといったところだろうか?八相局の中でも劫局はなかなかお目にかかれない。筆者はこれまで1000人以上を鑑定してきたが、未だ数名にしか出会っていない。そのほとんどが海外に太いパイプを持ち、各界の裏側で活躍していた。

 スレイマンが八相局を、それも劫局を持っていることは誰もが納得するところだろう。スレイマンは統治している46年間に13回もの大胆な対外遠征を行い、イスラム局の主要な都市(メッカ、メディナ、エルサレム他)、バルカン地方の大部分、中央ヨーロッパの一部、北アフリカの大部分、西アジアの一部まで領土を拡大した。その規模は、それまでのオスマン帝国の領土の約2倍に及ぶ。また、敬虔なイスラム教信者だったスレイマンは、それまでのビザンチン様式(東ローマ)の都市・コンスタンティノープルをイスタンブールへと作り替え、イスラム教帝国の中心としてふさわしい都市の礎を築いた。さらに、軍事面だけでなく、法律、文学、芸術、建築などを発展、整備してオスマン帝国を最盛期に導いた。スレイマンはまさに天に選ばれし者、劫局を上手に活かした人物だろう。

イブラヒム居宅跡
 

人脈30%!(正財)

 「人脈」はさりげない気配りができて誰とでも仲良くなれる星。中でも、「正財(せいざい)」は重要な人物を見抜いて強い信頼関係を築ける、真面目な星。誰に対しても優しく、コミュニケーション能力が高いが、お人よしすぎる面もある。結婚運の星でもある。

 スレイマンは人を見る目に長けていたという。人の強み見非極め、臣下に有能な行政官や政治家を配したとされる。その代表が、大宰相である奴隷から片腕・大宰相まで成り上がったイブラヒム・パシャ、軍人・官僚としての経歴を残したリュステム・パシャ、スレイマン1世に見出され、セリム2世、ムラト3世の3代に渡って務めたソコルル・メフメト・パシャ等だ。

 また、スレイマンは、それまでの前例を覆し、スルタンとして初めて結婚をしている。お相手は、ヒュッレム。ヒュッレムが宮中に入ったとき、第一夫人にはスレイマンの長男・ムスタファを生んだギュルバハールがいたが、ギュルバハールとのいさかい(ヴェネツィア大使によると、ヒュッレムは髪を引きちぎられ顔をひっかかれた)を機にライバルを蹴落とし、その誘惑と才能によってスレイマンの寵欲しいままにした。悪妻のイメージが強いヒュッレムだが、それは後に書き換えられたもので、スレイマンのアドバイザー的な役割をしており、外交政策に影響が見られるという。例えば、ヒュッレムからポーランド国王・ジグムント2世アウグストへ出した手紙が現存している。ヒュッレムの存命中、オスマン帝国とポーランドとの間に同盟関係が保たれた。少し傲慢なイメージはあるが、強靭なスレイマンにふさわしいよい妻をもらったといえるだろう。

スレイマニエモスク

 続いて、十二運星を見て、持って生まれたエネルギーを見ていく。

墓(ぼ):運勢エネルギー5

 探求心があり凝り性。先祖供養の役目があり、墓参りを熱心に行って開運する。
 スレイマンは信心深いイスラム教徒で、ご先祖のことも大切にした。遠征に訪れる時には、ご先祖や先代の墓を訪れている。その姿勢がさらにスレイマンを開運へと導いたのだろう。
 また、自分自身の墓にもこだわった。建築家・ミマール・スィナンに命じて作らせたスレイマニエ・モスクはオスマン建築の最高傑作のひとつと言われる。イスタンブールの旧市街にある7つの丘のひとつの頂上に位置し、礼拝堂の北側には、スレイマンとヒュッレムの墓廟が並んでいる。

建禄(けんろく):運勢エネルギー11

 王子様の星。王様の星=帝旺(ていおう)、女王様の星=冠帯(かんたい)と並び、「身強の星」の1つであり、エネルギーが強く、経営者等に向いている。目標を掲げ、休みなく前進する努力の星。

帝旺(ていおう):運勢エネルギー12

 王様の意味を持ち、最もエネルギーが高い星。カリスマ性があり統率力がある。頑固でわがままな部分もあるが、絶対的な存在である。

※運勢エネルギー トータル:28

スレイマンの墓

 12個ある十二運星それぞれに1~12の運勢エネルギーが割り振られていて、運勢エネルギーの合計は、日柱、月柱、年柱の十二運星の運勢エネルギーの合計で示される。スレイマンの場合、5+11+12=28である。平均は約15なので、かなり強いことがわかるだろう。八相局を持っているだけでも強いエネルギーの持ち主なのに、それと合わせて、「帝旺」「建禄」という身強の星を2つも持ち合わせている。根っからの皇帝、征服者と言える。今の私たちのキャパシティでその人となりを推測するのには限界があろう。

 筆者は昨年、イスタンブールを訪れた。今でもオスマン帝国の影響が色濃く残っており、さらに多くの人たちがスレイマンへの畏敬の念を抱いていた。先に紹介したスレイマニエモスクにも足を運んだが、次々と参拝者が訪れ両手の平を上に向け、敬意を示していた。そんな偉大なスレイマンは、全く意外性のないほど、強力な命式を持っていた。しかし、人への依頼心が強く、誰かに頼って生きたいというかわいらしい部分も見られた。
ところで、せっかく八相局や身強の星のような強靭なエネルギーをもって生まれても、その分プレッシャーに押しつぶされて、その力を十分に発揮できない場合も多い。スレイマンは、自分の使命、やるべきことを心得ていたのだろう。スレイマンのプレッシャーと苦悩、使命感に注目しつつ、引き続き、ドラマ・「オスマン帝国外伝」を楽しみたいと思う。

 

 

■四柱推命とは?

古代中国で生まれた「過去、現在、未来」を予見する運命学のひとつで、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)をもとに、人が生まれながらにして持っている性格、能力、素質を理解し、その人の努力や経験で変わる後天的な運命までも予測することができる。
具体的には、生まれた日(生まれた年・月・日・時間)をもとに命式表(めいしきひょう)を作成し占っていく。なお、ここでは生まれた時間は鑑定に含めていない。
「国史大辞典」に記載されている生年月日を、「和洋暦換算事典」を用いて現行暦に換算し鑑定している。

■用語説明

日柱の干支:その人の本質を表す重要な部分

主星(しゅせい):月柱の蔵干通変星で、その人を表す最も重要な星。主に仕事運を表す。

自星(じせい):日柱の蔵干通変星で、その人のプライベートな部分の性格を表す重要な星。

【参考文献】

・世界雑学ノートHP  https://world-note.com/suleiman-the-magnificent/ (最終アクセス2018年12月29日)
・スレイマン大帝とその時代 アンドレ・クロー 濱田正美(訳)法政大学出版局(1992)